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ダヴィンチコード イン ジャパン

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 豪田は、「豪田です。お聞きしております。ターゲットをお願いします。」と言った。

 緑は、「9月
18
日午前
11
時、成田空港着のアエロフロート575便で日本に戻る、商社マン
29
歳男木村孝です。」と言うと、

 豪田は、「了解いたしました。」と言って電話を切った。



 豪田はその後連絡をしてくることはなかった。

 緑はあまりに会話が簡単だったので少し不安を覚えたが、西村の伯父貴を信じて待つことに
した。

 



  成田空港に向かう

  9月
17
日午前8時

 いよいよ日本行きの日が来る。

 木村は起き上がりナターシャに電話をした。

 木村が、「ナターシャ、日本行きの日だ。一緒に朝食を食べませんか。」と言うと、

 ナターシャも、「一緒に食べましょう。」と同意した。

 木村が、「僕の部屋に来ませんか、朝食はこちらに運んでもらいましょう。」と言うと、

 ナターシャも同意し、木村の部屋で朝食を食べることにした。それからレフチェンコに電話
をして、木村の部屋に朝食を運んでもらった。

 木村はコーヒーをナターシャと自分のカップに入れながら、「日本に帰ったら何が起こるの
だろうか。」と不安げに言うと、

 ナターシャが、「ユーリーが宮川警部に連絡を取ってくらたかた大丈夫よ。」と慰めるように
言った。

 木村はナターシャの顔を見ながら、「日本の警察は、官僚主義的なところがあるから大丈夫
かな。」と再び不安げな顔をした。



 ナターシャは、「木村さん、大丈夫よ。」と力強く言った。

 そこにリガチョフから電話は入る。

 木村が電話を取ると、「飛行機の時間は午後8時なので午後5時にマルスキーが迎えに行く。
僕は行けないが、くれぐれも気を付けてがんばってください。ナターシャにもよろしく言って
欲しい。」と言った。

 木村は、「スパシーバ・バリショイ(本当にありがとうございます)。」と言って電話を切った。

 ナターシャにそのことを伝えると、笑顔で答えてくれた。

 朝食を済ますと、資料室に行き資料を再チェックしながら時間を過ごした。

 午後5時近くになると荷物をまとめ、木村の部屋でマルスキーを待った。

  9月
17
日 午後5時

 マルスキーから電話が入る。

 木村が電話を取ると、「今、手伝いをそちらに行かす。荷物を持って1階に来て欲しい。」と
言った。

 木村は、「分かりました。」と答え、ナターシャにそのことを伝える。

 しばらくすると、ドアをノックする音が聞こえた。ドアを開けると、いかにも力にありそう
な大男が入って来た。



 木村とナターシャの荷物を軽々と台車に乗せ、3人でエレベーターに向かった。

 エレベーターで1階に降りると、マルスキーが待っていた。マルスキーは、木村に飛行機の
切符とロシアのビザを、ナターシャには、飛行機の切符と日本のビザを渡した。

 二人は急いで車に乗り込む。車はいつもの頑丈なランドクルーザーだった。さっきの大男が
軽々と荷物を車の後部に積み込む。積み込み終わるとすぐに出発する。車はスピードを上げ、
シェレメチボ国際空港に向かった。

 1時間ほどすると空港に到着する。空港に到着すると、車でゲートを通り過ぎ中に直接入っ
て行った。そして小さな入口の前で止まった。

 マルスキーが荷物を出迎えに来た男に渡した。その男が、「こっちへこい。」と手招きする。

 二人はマルスキーに、「スパシーバ(ありがとう)。」と簡単に挨拶し、急いで空港の中に入った。

 空港の中に入ると、外交官入口から出国審査をパスして控え室に入った。そして二人が控え
室のソファーに腰掛けると、さっきの男がボーティングパスを二人に渡した。

 それから二人のパスポートとビザを受け取り、出国審査ゲートに行く。しばらくすると戻っ
て来て、二人にパスポートを返した。二人は、「スパシーバ(ありがとう)。」と声をかけた。
今度は若い女性の職員が紅茶を持って来てくれた。

 木村は小声で、「スパシーバ(ありがとう)。」と言った。木村は不安からかなり緊張してい
る様子だった。

 ナターシャが、「木村さん、何か楽しいことを考えましょうよ。」と言って、控え室にあった



日本の雑誌を手に取った。

 そして木村に、「京都ってどんなところ。」と聞いた。

 木村が、「京都は古都でとても美しいところです。」と言うと、

 ナターシャが雑誌の写真を見せて、「木村さん、ここに行ったことがありますか。」と聞いた。

 木村は写真を見て、「ここは南禅寺といい、美しいトラの絵がある。」と言った。

 そんな話をしているうちに、出発の時間になる。

 さっきの女性の案内で飛行機に向かう。二人は時間ぎりぎりに飛行機に乗り込んだ。席は
ファーストクラスの一番うしろである。

 二人が席に着くと、まもなく飛行機は出発した。

 水平飛行に入ると食事が出てくる。

 木村は食事についているシャンパンを飲みながら、明日何かとんでもないことが起こるので
はないだろうか、と予感していた。

 



  成田事件

  9月
18
日 午前
10
時(日本時間)

 飛行機は成田空港に近づく、「あと1時間で成田国際空港に到着します。」とアナウンスが流
れた。

 
木村が、「いよいよ日本だな。」と真剣な顔で言うと、ナターシャは、「木村さん、桃子さん
に連絡しなくていいの。」と言った。

 木村が、「桃子をこの事件巻き込みたくないんだ。」と答えると、ナターシャはうなずいて納
得した。

 飛行機は着陸態勢に入り、まもなく滑走路に着陸した。そして第二ターミナルの駐機場に向
かう。「ただいま、第二ターミナル
39
番スポットに到着いたしました。飛行機が完全に止まる
まで、シートベルトをしたまま座席でお待ちください。」とのアナウンスがあった。

 木村は飛行機が完全に止まっても動こうとしない。

 ナターシャが、「降りましょう。」と促すと、

 木村は、「ナターシャ先に行って税関を出た先の女子トイレの前で待っていてくれ、僕は最
後に出る。」と言った。



 ナターシャは、「分かりました、気を付けてね。」と再度念を押した。

 木村は全員が降りても、まだ機内から動こうとしない。

 スチュワーデスに、「早く降りてください。」と促され、それから動き出した。

 木村はドア係のスチュワーデスがドアを閉めようとした瞬間、自分で半分ドアを押さえ飛行
機の外に出た。

 それからバゲージクレームには行かず、預けたスーツケースは引き取らないことにした。

 そしてトイレの中で、全員が税関を通り過ぎるのを待っていた。

30
分程待って税関に行くと、何か大騒ぎになっていた。

 木村と背格好が同じぐらいの男性が暴漢に襲われたらしい。その暴漢は刃渡り
30cmの刺身
包丁を胸に隠し、その男性に突進して来た。男性に重症を負わせ、その場で空港警察に逮捕さ
れた。

 木村は、「ああ、助かった。あの男性には悪いことをしたな。」とつぶやきながら、大騒ぎの
税関をすり抜けて出た。