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ダヴィンチコード イン ジャパン

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 木村は、「分かりました、すぐ行きます。」と答え電話を切った。

 そしてナターシャに、「食事が出来たので9階に行きましょう。」と言うと、

 ナターシャは、「ダー(はい)。」と答えた。

 それから二人で9階に向かった。9階に着くとレフチェンコが待っていた。

 レフチェンコは、「こちらです。」と言って、二人を壁の近くのテーブルに案内した。テーブ
ルの真中に大きな魚が用意してあった。

 レフチェンコが木村に、「これはキャビアを採る魚です。食べたことがありますか。」と聞いた。

 木村が、「食べたことはありません。」と答えると、

 レフチェンコは自分も席につき、魚を木村に取り分けながら、「この魚はキャビアに負けず
とても美味しいです。」と言った。

 木村も席についてその魚を一口食べ、レフチェンコの顔を見ながら、「とても美味しいです、
日本にはない味です。」と言った。そしてナターシャに、「あなたもこの魚が好きですか。」と
聞くと、ナターシャは、「ロシア人ならだれでも好きです、キャビアに負けない高級魚ですから。」
と答えた。

 木村は内心、「さすが、KGBだな。」と思った。

 レフチェンコがサラダを取り分けながら、「今日の調査はどうでしたか。」と聞いた。

 木村は、「日本にラーメンヌードルという食べ物がある。その器にマークが付いている。そ
のマークがロシア正教の教会にあったマークと同じだった。」と言い続けて、「どうもそのマー



クはキリストが移動した証拠のようだ。」と言った。

 レフチェンコは、「それは大変興味深い。」と答えた。

 木村は、「中国の資料に“キリストの印”というものがあり、それもそのマークと同じであっ
た。」と言い加えた。

 ナターシャはラーメンマークにあまり実感がないようで、二人の話を静かに聞いていた。

 木村が、「モスクワの近くにロシア正教の聖地がある、と聞いたのですが。」と言うと、

 ナターシャが、「それはセレギエフ・ポサードです。車で2時間ぐらいの所です。」と答えた。

 木村はレフチェンコに、「そこに行って見たいのですが。」と言うと、

 レフチェンコは少し考えた後で、「分かりました、手配致しましょう。」と言った。

 3人が食事を終えようとするとき、

 レフチェンコが、「食後はコーヒーと紅茶のどちらにいたしますか。」と聞いた。

 木村は、「コーヒー。」と答え、ナターシャは、「紅茶。」と答えた。

 中年の女性が木村にコーヒー、ナターシャとレフチェンコに紅茶を出した。

 レフチェンコは紅茶にジャムを入れながら、「夕食は8時頃用意いたします。電話をします
のでそれまで十分に調べてください。」と言った。それから木村に、「モナリザの頭の右上にも
青森の形があるようです。」と報告した。

 木村は、「やはり、そうか。」と答えた。

 木村とナターシャはコーヒー・紅茶を飲み終わると、レフチェンコに礼を言い資料室に戻っ



た。二人は資料室で夜8時頃まで調べるが特に新しい発見は出来なかった。

 8時になるとレフチェンコより電話が入り、レストランで夕食を食べた。ボルシチとタンの
料理が用意してあった。食事を始める前に、レフチェンコが、「明日朝食の後、セルギエフ・ポサー
ドに行きます。」と二人に言った。

 二人が、「分かりました。」と返事をすると、レフチェンコが、「サンクトペトロブルグで一
緒だったマルスキーが警護にあたる。」と言った。

二人は再び、「分かりました。」と返事をした。

 それから食事を食べた後、部屋に戻り翌日に備えた。



  聖地への旅

  9月9日 午前8時

 木村はドアをノックする音で目が覚めた。あわててドアを開け朝食を運んでもらう。今日は
昨日と違い、黒髪で細身の若い美人が朝食を運んでくれた。

 木村が、「私は木村孝と申します。日本人です。」と自己紹介をすると、その女性は朝食をテー
ブルに並べながら、「私は、タチアナ・グラソワです。」と挨拶した。

 木村が、「セルギエフ・パサードとは、どんな所ですか。」と尋ねると、

 タチアナは、「モスクワから100kmぐらいの所にあり、セルギー大修道院があります。
その院長は最近亡くなられたアレクシス2世でした。」と言った。

 木村は、「アレクシス2世は全ロシアの総主教だったのですか。」と尋ねると、タチアナは、「そ
うです。」と答えた。

 木村が、「セルギエフ・パサードまで車でどれくらいの時間がかかりますか。」と聞くと、

 タチアナは、「そう、2時間ぐらいでしょう。」と言い、「セルギエフ・パサードは世界遺産
に登録されています。」と言い足した。

 木村は、「スパシーバ(ありがとうございます)、僕は今日セルギエフ・パサードに行きます。」



と言った。

 タチアナは、「それは素晴らしい、セルギエフ・パサードには美しい寺院がたくさんあります。」
と言って部屋を出て行った。

 朝食を済ますとレフチェンコから電話がある。

 レフチェンコは、「今、車が到着しました。マルスキーが1階の入口で待っているので、ナター
シャさんと一緒に来てください。」と言った。

 木村は、「分かりました。」と言って電話を切った。そしてナターシャに電話をかける。

 木村が、「今、車が来たそうです。マルスキーさんが1階で待っています。行きましょう。」
と言うと、ナターシャは、「分かりました、すぐ行きます。」と答えた。

 二人が1階の入口に行くとマルスキーが待っていた。二人はマルスキーと簡単な握手をして
外に出る。車は頑丈そうなランドクルーザーで、入口のすぐそばに止めてあった。

 二人は車の後座席に座り、マルスキーの運転で出発した。モスクワの中心街を離れ、広い道
を郊外に向かって走って行く。

 マルスキーが急に緊張する。そして、「だれかがつけて来る。」と言い、携帯電話を取った。

 ロシア語で何かを指示する。しばらくするとパトカーが2台やって来た。パトカーが車の前
後を固める。

 木村が外を見るとまた黒服が二人いる。車に乗ってこちらを見ていた。マルスキーが電話で
何かを指示した。



 急に車はスピードを上げる。

 パトカーもぴったり付いてくる。

 黒服も追いかけてくる。

 前のパトカーが黒服の車との間に割って入った。

 黒服の車とパトカーが接触した。

 黒服は分が悪いと思ったらしく、どこかに走り去っていった。

 黒服がいなくなると車はスピードを落とす。

 1台のパトカーもどこかに走り去った。

 もう1台は後から付いてくる。

 マルスキーが、「危ないところだった。」と一言もらした。しばらくすると、マルスキーがセ
ルギエフ・パサード説明を始める。

 木村は今までカーチェースをやっていたのに、すぐ切り替えられるとはさすがKGBだと
思った。

 マルスキーは、「セルギエフ・パサードはモスクワの北方90kmの所にある。ここにトロー
イツェ・セルギエフ大修道院がある。この修道院は1、345年にロストフ出身の聖職者セル