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ダヴィンチコード イン ジャパン

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 テーブルに着くと、木の台(ゲタ)の上にのった鮨が出てきた。わさびもガリもちゃんと付
いている。それに日本茶と熱燗の日本酒が付いていた。

 レフチェンコが木村に、「日本酒を飲みますか。」と聞いた。

 木村は、「はい。」と答えた。

 レフチェンコはナターシャにも聞くと、

 ナターシャも、「ダー(はい)。」と答えた。

 レフチェンコはワイングラスに熱燗の日本酒を入れた。

そして3人で、「ザナス(乾杯)。」と言って、日本酒を飲み始めた。

木村はまぐろを一つつまみながらレフチェンコに、「この鮨は本格的ですね、日本のものと変
わらない。」と言うと、

 レフチェンコが、「魚は築地から持ってきている。」と言った。



 木村はその言葉に感心してナターシャに、「ロシアでは鮨は一般的食べ物になっているので
すか。」と尋ねると、

 ナターシャは、「お店はどこにでもあります。ただし高級料理なのでいつも食べることはで
きません。」と答えた。

 レフチェンコもその説明に納得したようで、「うん。」とうなずいていた。

 その後レフチェンコが小皿に醤油を入れわさびを溶きながら、「今日の調査に結果はどうで
したか。」と尋ねた。

 木村は、「午前中に竹内古文書のことを調べました。竹内古文書が日本の公文書館にあるこ
とは日本人も知らない。さすがKGBの情報収集能力は凄いです。」と答えた。

レフチェンコはその説明に納得したようで、一つ「うん。」とうなずいた。

 ナターシャは卵のにぎりを食べながら、「フリーメイソンという団体は、ユーリーが言った
ようなひどいグループであることがよく分かりました。」と言った。

 再びレフチェンコは、「うん。」とうなずいた。

 木村は日本酒を口に含み穴子のにぎりをつまみながら、「午後はダヴィンチのことを調べま
した。」、「ブノワの聖母の絵を裏返して、リッタの聖母の上に重ねるとぴったりはまる。それ
が青森の地図になるという説明には感動しました。」と言った。続けて、「モナリザの頭の右上
にも青森の地図があると思うのですが、どう思いますか。」とレフチェンコに聞くと、

 レフチェンコは、「私は専門家でないのでよく分かりません。今の話を専門家に聞いて後で



報告しましょう。」と答えた。

 その後三人は食事を済ませ、ちょっとさめたお茶を飲みながら話を終えた。

 レフチェンコが、「朝食は今日と同じ時間に持って行かせます。よろしいですか。」と聞く。

 二人は、「ダー(よろしいです)。」と答えた。

 そしてレフチェンコに礼と言い、部屋に戻った。

 木村は部屋に戻ると気分転換でテレビを点けた。チャンネルは日本よりいっぱいありそう
だった。その中から面白そうなものを探す。クイズ番組らしいものをやっているチャンネルが
あった。ロシア語が分からないのではっきりと説明できないのだが、随分高額の商品、車やクー
ラーなどが当たる番組のようであった。

 木村はその番組を見ながら、日本と違いロシアの景気の良さを実感しいた。そしてその日は
12時近くに休んだ。



  ラーメンマーク(雷文)の歴史

  9月8日 午前8時

 木村は今日もドアをノックする音で目を覚ました。飛び起きてドアを開ける。朝食が運ばれ
て来た。

 今日は昨日と違う若い女性が運んで来てくれた。

 木村はにわか勉強のロシア語でその女性に、「ドーブラエ ウートラ(おはようございます)。」
と挨拶した。

 女性も挨拶をしながら、テーブルの上に朝食を並べた。

 木村は女性に、「お名前は何というのですか。」と尋ねると、女性は、「私はエレナと申します。」
と英語で答えた。

 木村はエレナが朝食を並べ終えると、「スパシーバ(ありがとう)エレナ。」と声とかけた。

 エレナは、「パジャーロスタ(どういたしまして)。」と言って部屋を出て行った。

 木村は黒パンにスミターナ(サワークリーム)を付け、サラミとトマトをのせ口に運びなが
ら、今日はラーメンマークのことを調べようと思った。

 そのときナターシャから電話がある。



 ナターシャは、「よかったら、一緒に食事をしませんか。」と言った。

 木村も同意し、「僕の分を持ってそちらに行く。」と言った。

 ナターシャが、「分かりました。」と言ったので、木村は自分の食事をエレナが持ってきたお
盆にのせ、それを持ってナターシャの部屋に行った。そして二人で食事をしながら、今日の打
ち合わせを始めた。

 木村が、「今日はラーメンマークについて調べたい。」と言うと、

 ナターシャは、「それはインデックスにないので、どこを調べたらいいら分からない。」と答
えた。

 木村は、「そうだな、手当たり次第に見ていくしかないな。」と言って、コーヒーを飲み干した。

 ナターシャが、「もう一杯飲みますか。」と聞いたので、

 木村は、「はい。」と答えた。するとナターシャは木村のカップにコーヒーを入れ始める。

コーヒーを入れ終わると、そのカップと一緒にミルクだけを木村の前に差し出した。木村がミ
ルクだけしか入れないことを覚えていたようであった。

 木村はナターシャの賢さを肌で感じ、「スパーバ・バリショイ(本当にありがとうございま
す)。」と言った。

 二人は食事を終えると、1階で鍵を受け取り地下の資料室に向かった。資料室に着くと、
616号室に行き手当たり次第資料を見て歩く。今度はマークなので言葉が分からなくても探
すことができた。木村はどんどん資料を開け、見ては締めの連続であった。



 ナターシャはとなりの615号室に行き資料を見ているようであった。2時間ほどすると、
ナターシャがいくつかの資料をもってやって来た。ギリシャ正教とロシア正教の資料である。

その資料にラーメンマークが載っていた。

 木村が、「ナターシャ、これはどのような資料なのですか。」と聞くと、

 ナターシャは、「これはキリスト様がギリシャとロシアに来られた証拠です。」と答えた。

 木村が、「日本にあるラーメンのマークは中国から伝わって来たと思うのですが。」と言うと、

 ナターシャが、「こちらにキリスト様と中国に関する資料がある。」と言い、木村を616号
セクション10番1の棚の前に連れて行った。

 二人は棚の資料を見始める。今度は大部分が中国語で書かれていた。

 ナターシャは中国語が分からないようで、なかなか進まない様子であった。 

 木村も中国語は分からなかったが、漢字の意味をたどると何とか理解ができた。その資料の
中に、「キリストの印。」と思われるものがあった。そこにラーメンマークが付いていた。

木村は興奮して、「ナターシャ、見付けた。見付けた。」と2度繰り返した。

 ナターシャは、「印。」の意味が良く分からなかったようだが、「そう、これはキリスト様のマー
クです。」と答えた。

 そのとき部屋の電話が鳴る。

 木村が取るとレフチェンコからであった。

 レフチェンコは、「昼食の用意ができたので、9階のレストランに来てください。」と言った。