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ダヴィンチコード イン ジャパン

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 木村は、「自分が想像していたモスクワとは随分違うな、」と実感していた。

 車が高速道路のジャンクションに来たところに、黒い鉄製のバツマークのモニュメントがあ
る。

 木村はリガチョフに、「あのモニュメントは何ですが。」と尋ねると、

 リガチョフが、「1941年にナチがここまで来たという印だ。」と少し不機嫌そうに言った。

リガチョフの祖母・祖父は、ナチスドイツとのサンクトペトロブルグ攻防戦で戦死していた。

 その後車はジャンクションを右に曲がり、モスクワの中心街に向かう。クレムリンが見えて
きたあたりを左に曲って、大きなビルの前に来た。前は広場になっていて、中央にかつて何か
があったような土台が残っていた。

 リガチョフが、「あそこに、KGBを造ったジェルジンスキーの像あった。」と説明した。

 KGB本部の前に来ると、40代ぐらいで太りぎみの男が迎えに来る。

 3人は車を降り、急いでビルの中に入る。

 リガチョフが、「木村とナターシャ。」を迎えに来た男に紹介する。

 男は、「私はKGB国際ディレクター、ミハイル・レフチェンコです。」と自己紹介をした。



 リガチョフが木村とナターシャに、「僕はクレムリンに行かなくてはならない。」、「後のこと
はレフチェンコにすべて指示してあるので聞いてくれ。」と言って、ビルを出て行った。

 ビルの中は大きく美術館のようであった。レフチェンコの案内でエレベーターに乗り、5階
へ昇る。

 エレベーターの中で、木村がナターシャに、「さすがKGB本部は凄いところだね。」と言うと、

 ナターシャが、「ここには、ロシアがソ連時代から集めた膨大な情報があるの。」、「キリスト
の情報も、ここにあるかもしれませんね。」、「私も協力しますから、二人で探しましょう。」と
言った。

 木村も、「僕はロシア語が分からないから、ナターシャさんと一緒じゃないとできない。よ
ろしくお願いいたします。」と改めて頼んだ。

 5階へ着くと、大きな応接間に案内された。

 そこで簡単な昼食が出てくる。黒パンとタンのハム、サラミ、それにサラダとロシアティー、

飲み物はミネラルウォーターとりんごジュース、オレンジジュース、それに大きな器のペルメ
ニ(水餃子の様な物)。それらが、コップと共に丸い大きなテーブルの上にのせてあった。

 レフチェンコが、「どうぞお座りください。お飲み物はどうしますか。ビールもワインもご
ざいます。」と二人に言った。

 木村は、「僕はオレンジジュースをいただきます。」、

 ナターシャは、「私はりんごジュース」と答えた。



 レフチェンコはコップにジュースを注ぎながら、「本日からここのゲストルームに滞在して
いただきます。」、「お見せしたい資料があります。興味あるものと思います。」、「ぜひ、ご覧く
ださい。」 、「滞在期間はいくらでも結構です。」、 「思う存分調べてください。」 、「外に出る
ときは言ってください。エージェントを保護のために付けます。」と淡々と述べた。

 木村は黒パンにスミターナ(サワークリーム)を付けながら、「どうもありがとうございます。」
と礼と言った。

 ナターシャはりんごジュースを飲みながら、静かにその話を聴いていた。

部屋の中央には、多分ジェルジンスキー(KGB創始者)と思われる立派な肖像が掛けてあった。

食事が終わりロシアティーを飲みながら、

 レフチェンコが、「この後、ゲストルームに案内します。」、「そこで荷物を置いた後、地下の
資料室に案内いたします。」と説明した。

 ロシアティーを飲み終わると、レフチェンコの案内でゲストルームに行く。ゲストルームは
同じ5階の奥にあった。

 部屋に行ってみると、ここも美術館の1室のようなところだった。縦長の部屋で、左の壁に
エルミタージュにあるような帝政時代の大きな古い絵がかけてある。部屋の中央に寄木細工の
机があり、上にテレビと電話が置いてあった。奥には冷蔵庫があり、中にはビール、シャンパ
ン、ジュース、ミネラルウォーター、サラミ、缶詰などが入っていた。右側には大きなベッド
があり、四隅に柱が立っていて屋根が付いている。屋根の下からカーテンがかかっていた。ク



レオパトラのベッドみたいなものである。廊下を挟み、木村は右の部屋に、ナターシャは左の
部屋に案内された。ただひとつ、この部屋には窓はなかった。

 レフチェンコが、「用意ができたら電話で知らせてください。」、「地下の資料室に案内いたし
ます。」と言って部屋を出て行った。



  KGBの情報

 木村は部屋で着替えを済ませ、ナターシャに電話をかける。

 ナターシャは、「私はいつでも資料室に行くことができます。」と返事した。

 木村がレフチェンコに電話し、「私たちの用意ができました。」と言うと、レフチェンコがやっ
て来た。

 レフチェンコは、「これから地下の資料室に案内いたします。」、「思う存分調べてください。」
と言って、二人を地下に資料室に案内した。

 資料室は膨大で地下1階から地下6階まである。

 木村はレフチェンコに、「キリストに関する資料はどこにありますか。」と聞くと、

 レフチェンコは、「地下6階の615号室と616号室にある。」と答えた。

 そして二人をその部屋に案内した。地下にはエレベーターはなく、狭い階段を下りて615
号室の前に来た。レフチェンコは615号室と616号室の鍵を開けた。そして、「他の部屋
を見たい時は言ってください。中に電話があります。」と言って、ナターシャにロシア語で書
かれた資料室一覧表を手渡した。

 二人はレンチェンコに、「スパシーバ(ありがとう)。」と言い、615号室に入った。

 木村は、「ここの資料を調べるだけで1年ぐらいはかかりそうだ。」と言った。



 ナターシャは、「そうですね。」と答えた。

 木村が、「青森のキリストの墓に関する資料を見たい。」と言うと

 ナターシャは、「分かりました。順番に探しますから少し待ってください。」と言って、一覧
表と照らし合わせながら一項目ずつ探していった。

 615号室を一応見た後で、616号室に移る。

 ナターシャは一応全体を見終わった後で、「616号室のセクション20から40の場所に
日本に関するキリストの資料がある。」と言った。二人はその場所に行く。

 その場所に言って見ると、セクションとは棚の意味で20棚分資料があるということであっ
た。一つの棚は4段に分かれていて、両手を広げたぐらいの大きさがあった。

 木村が、「この資料を調べるのは大変な作業になるな。」と言うと、

 ナターシャも、「うん、うん。」と同意した。

 資料の半分ぐらいは日本語で書かれていたので、木村は楽に調べることができた。

 木村が、「僕は日本語のものを調べるから、あなたはロシアのものを調べてください。キーワー
ドはダヴィンチと青森のキリストの墓です。」と言うと、

 ナターシャは、「分かりました。」と返事をした。