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ダヴィンチコード イン ジャパン

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日本に永く滞在されたことには何か深い理由があったのでしょう。」と言うと、

リガチョフもうなずいていた。

 木村も納得し、リガチョフに習いスミターナ(サワークリーム)をスプーンでボルシチに入
れて一口飲むで、「これは美味しい、日本で食べるボルシチとは全然違う。さすがロシアだ。」
と言い二人の顔を見た。

 リガチョフは、「僕は日本のスミターナ(サワークリーム)も知っているが、ロシアとは作
り方が全然違う。」と言い、続けて、「フリーメイソンの件だがKGBの調査によると大変大き
な組織で、投資部門・政治操作部門・マスコミ操作部門・テロ支援部門・特別対策部門の5部
門があり、最後の特別対策部門が問題だ。」、   「各国のマフィアやヤクザなどの犯罪組織と
も関係が深く、もっとも危険な部門だ。しかし何か考えがあるようで、いつも黒服・黒ネクタイ・



黒メガネを制服としている。」と言い二人の顔を一瞬見た後で、「誰がこの組織の責任者かは最
高の機密事項らしく、中の人間でも知らされていない。フリーメイソンとかいう団体の、変な
宗教行事の中で行動が決められているらしい。」と説明した。

 木村が、「日本にもこの団体の支部があるのですか。」と尋ねると、

 リガチョフはメインディッシュのカツレツを食べながら、「日本の安東組というヤクザ組織
と関係があるらしい。」と答えた。

 ナターシャは、二人があまりに凄い話をしているので黙って聞いていたが、「私、そんな組
織絶対に許せない。」と感情的に言った。

 リガチョフはその姿を静かに見ながら、「今のKGBはアメリカのCIAやイギリスのMI6と良好な関係にある。彼らに摘発の依頼をしているのだが、なかなか現実のものにならない。」
と渋い顔をした。

 木村がタンの煮込みを食べながら、「その組織の中心は、イギリスとアメリカにあるのです
か。」と尋ねると、

 リガチョフは、「ロンドンとニューヨークに、フリーメイソンと関係が深い会社がある。」と
答えた。

 ここでリガチョフが、「ああそうだ、グルジアのワインがある。飲みませんか。」と聞いた。

 木村は、「はい、ぜひ飲みたいです。」と答えた。

 ナターシャは、「私はシャンパンだけで結構です。」とワインを断った。



 リガチョフはワイングラスを2つ持ってきて、木村と自分の前に置きワインを注ぎ始めて、
「これはムクザニという有名なグルジアワインです。」と言った。

 木村がリガチョフの顔を見ながら、「フリーメイソンは、次にどんな手を打ってくると思い
ますか。」と尋ねると、

 リガチョフは木村の目を深く見ながら、「ずばり、あなたの命を狙ってくる。」、「ロシアでは
KGBが保護するが、日本では大丈夫ですか。」と聞いた。

 木村は深刻な顔で、「自分自身でなんとかするしかない。」とうなだれた。そして急に食欲が
なくなったようで、「コーヒーはありますか。」とリガチョフに聞いた。

 リガチョフは、「ナターシャあなたもコーヒーを飲みますか。」と尋ね、

ナターシャが、「私も飲みます。」と言ったため、コーヒーを3つ用意する。

 そして2人に出すとナターシャが、「ユーリーあなたの手で、木村さんの命をなんとか守っ
てください。」と悲壮な顔で頼んだ。

 リガチョフは、「ロシア国内は絶対に大丈夫だ。」と強い調子で答えた。

 3人がコーヒーを飲み終わると、エプロンを着けマシンガンを肩に背負ったマルスキーが
入って来て、食事の後片付けを始めた。

 片付け終わるとマシンガンを一度肩から下ろし、エプロンを脱いでまたマシンガンを持ち外
に出て行った。

 リガチョフが、「明日朝3時にここを出て、プルコヴォ空港からKGBの特別機でモスクワ



に行く。それからKGB本部に入る。」と明日の予定を説明した。

 木村は自分の命が危ないというショックでうつむきながらも、「分かりました。」と返事をし
た。

 ナターシャは、何も悪いことをしていない木村の命が狙われているという現実を、なかなか
理解できなかったようだが、「木村さん、がんばってください。」と励ました。

 リガチョフが、「明日は早いから、今夜は早く休もう。」と言って部屋に戻った。

 木村とナターシャも、それに従い部屋に戻った。

 木村はすぐ逃げられるよう、寝具に着替えずそのままベッドに入った。それからなかなか眠
れなかったが、思い切って居直りフリーメイソンと戦う腹を決めた。

  9月6日 午前3時

 

 リガチョフが木村を起こしに来る。

 木村は
10
秒で立ち上がると、ベッドの横に置いてある荷物を持ち早足で1階に降りた。

 マルスキーとナターシャはすでに車に乗っていた。

 リガチョフと木村が乗り込むと、マルスキーはエンジンを掛け、ガレージの外に車を動かし
て、戸と閉めてから出発した。今度は別の道をスピードを上げて走り出す。郊外の道をかなり
のスピードで走った後、朝6時頃空港に着いた。空港のゲートをそのまま通過し、飛行機の前



まで直行する。小型のビネスジェットがエンジンを掛けて待っていた。

 リガチョフが先に降り飛行機の所に行き、「こちらに来い。」と手で合図した。

 3人は合図に従い車を降りた。

 マルスキーが2人の荷物を持ち、4人で飛行機に乗り込む。そしてマルスキーは軽く会釈し
飛行機を降りようとするが、木村が走り寄り、握手を求め、「スパシーバ・バリショイ(本当
にありがとう)。」と礼を言った。

 ナターシャも軽く会釈し、「スパシーバ・バリショイ。」と声を掛けた。

 その後マルスキーは降り、飛行機は轟音とともにモスクワに向かった。



  KGB本部へ

  9月6日 午前8時

 サンクロペトロブグルを出発した飛行機はモスクワに着いた。国際空港のシェレメチボ2の
近くに、シェレメチボ1という空港がある。飛行機はシェレメチボ1に着陸した。

そして誘導路を通り抜け、そのままゲートの近くまで行った。トヨタの古いクラウンに似た、
ボルガというロシア製の黒い車が迎えに来ていた。

荷物を持ちそのまま車に乗り込む。車はスピードを上げ、モスクワの中心街に向かう。

 木村はモスクワに来るには始めてだった。

 木村はナターシャに、「僕はモスクワに来るのは初めてです。」と言うと、

 リガチョフが、「僕はサンクスの出身だがモスクワもいい所ですよ。」と笑顔で答えた。

 ナターシャも、「うん、うん。」と同意していた。

 車は高速道路に入る。高速のゲートの近くに、トヨタと日産の大きなディーラーが2件並ん
でいる。

 木村が、「モスクワには日本の車は多いのですか。」とリガチョフに聞くと、

 リガチョフは、「モスクワに行ってみれば分かるが、たくさん走っている。僕もトヨタレク



サスを1台持っている。」と答えた。

 道の両側には大きなショッピングモールがいくつも連なっている。

 ナターシャが、「あれは家具の店、次は食料品、その先は洋服の店。」と連なるモールを説明
してくれた。