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ダヴィンチコード イン ジャパン

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すると驚いたことに、壁の中央に一廻りラーメンのマークが付いている。



                      エルミタージュのラーメンマーク(雷文)



 木村は、「あー凄い、ラーメン部屋だ。」と声を上げた。

その様子を柱の影から例の黒服の男が見ていた。

 ナターシャが、「このマークはロシアの伝統的マークで、ロシアだけでなくギリシャなどキ
リスト正教系の建物にはどこにでもある。」と説明した。

 木村は、「なるほど、このマークがキリストの移動して行った証拠なのだな。」と小声で自問
した。

 ナターシャが時計を見ると昼近くだったので 



 木村に、「そろそろホテルに行こう。」と言った。

 木村も、「そうですね。」と同意し、エルミタージュを出ることにする。そこで木村は例の黒
服をチラット見てナターシャに、「黒服がいる。早くホテルに行こう。」と小走りに急いだ。

 アストリアホテルはエルミタージュから近く、道を渡り公園を越えてもう一本道を渡ったと
ころにあった。木村は、スーツケースをエルミタージュの前にあるイサク聖堂のクロークで受
け取り、二人は急ぎ足でホテルのロビーに入った。

 すると、ナターシャの同級生で大統領補佐官のユーリー・リガチョフがすでに待っていた。

 ナターシャはリガチョフと握手して木村に、「大統領補佐官のユーリー・リガチョフさんで
す。」と紹介する。

 リガチョフは30代ぐらいに見えたが髪の毛が少し薄く、どこかプーチン前大統領に似てい
た。

 木村は、「日本の貿易会社に勤める木村孝です。よろしくお願いいたします。」と、自分の名
刺を出す。

 リガチョフも英語で書かれた大統領補佐官の名刺を出した。

二人は簡単な握手を交わす。それから1階のレストランで食事をしようということになったの
で、木村は急ぎチェックインに向う。

 ナターシャとリガチョフは先にレストランに行くことになった。

 木村は外からガラスの窓越しにこちらを見ている黒服に気付き、目をそむけながらチェック



インカウンターに向かった。パスポートを出してチェックインをする。

 木村が、「今日と明日の滞在をお願いします。」と言うと、

 中年のかなり太った女性がカウンターの書類に目を通しながら、「1日20,000ルーブ
ルです。部屋は2階の3号室です。」と答え、木村にカードキーを渡した。

 木村は、「さすが一流だなあ。」とつぶやきながら、カードキーを受け取り2階へ向かった。

すぐにボーイが出てきて木村の荷物を運ぶ。中央にある古い鉄製の外が見えるエレベーターで
2階に昇った。

 部屋を開けて入ると、中は美術館のような造りで奥にベッドが2つ並んでいた。

 木村は、「ここもさすが一流ホテルだなあ。」と再びつぶやき、ボーイにチップを渡し1階の
レストランに急いだ。今度はエレベーターの周りの階段を急いで降り、奥のレストランに行く。

 レストランに入ると、ナターシャとリガチョフがこちらだと手招きをした。そのテーブルに
座り、料理を注文する。

 木村はボルシチとタンの煮込みと黒パン、

 リガチョフはボルシチとキエフカツレツと黒パン、

 ナターシャはシーというアイボリー色のスープとゴルブツイ(ロシア風キャベツロール)、

を注文し、ミネラルウォーターを飲みながら話を始めた。

 もちろんリガチョフは言葉の達人なので英語で話しが始まった。

 まずは木村が、「僕は両親を事故で失って以来、何か直感力が高まって、今まで3度キリス



トの姿を見ました。」、

「1度目は日本にあるキリストの墓で」、

「2度目はイスラエルのゴルゴダの丘で」、

「3度目は今日イクサ聖堂のイコンの前で」、と言い、

 続けて、「そのときナターシャさんが僕の後にいました。」と言った。

その言葉が終わらないうちにナターシャが、「私もキリスト様のお姿を見ました。同じように
父がグルジアで戦死して以来、直感力が高まり何度もキリスト様のお姿を見ました。」と話した。

 するとリガチョフが、「私も青森のキリストの墓に行ったことがある。」少しおいて、「フリー
メイソンのエージェントに会いましたか。」と聞いた。

 木村が、「ゴルゴダの丘でキリストに出会って以来、妙な黒服・黒ネクタイ・黒メガネの男
に付回されている。さっきも窓の外からこちらの様子を伺っていた。」と言うと、

 リガチョフが、「それはフリーメイソンのエージェントだ。」と自信のある表情で言った。そ
して、「彼らはいつも黒服・黒ネクタイ・黒メガネなのだ。」、「目立つから不利になると思うの
だが、絶対に服装を変えない。」、「そういう連中なのだよ。きわめて危険な連中だ。」と説明した。

 そこでナターシャが、「ユーリーもっとそのフリーメイソンのことを聞かせて。」と言うと、

 リガチョフは、「フリーメイソンは歴史が古く、
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世紀からヨーロッパ人のためのキリスト
巡礼道のガードで、莫大な富を蓄えたテンプル騎士団に由来している。そのテンプル騎士団が、
14世紀初頭のフランス・フィリップ王による
13
日の金曜日事件で、総長以下全員葬られてし



まった。しかし、そのイギリス支部がフィリップ王の手を逃れ、資産の一部を引き継ぎ、現在
まで生き残っているのがフリーメイソンだ。今でもロンドンのシティでは、
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億ドルあるとい
われている資産を元に、歴然とした力を持っている。」、

「我々KGBも、彼らの行動に注目している。」、

「KGBの分析によると。」、

「我々もキリストが復活後、青森に行ったことを確認している。」、

「しかしフリーメイソンの連中は、決してそんなことを認めない。必ず何か妨害策を打ってく
る。」、

「彼らは100年前のスターリンによるロイヤル石油接収以来、その石油会社に投資していた
らしく、ロシアを恨み続けている。」、

「フリーメイソンとは、そんな時計を持たないどうしようもない連中なのです。」と締めくくる。

 木村もナターシャも、リガチョフの話があまりに説得力を持っていたのでただうなずいてい
た。

そこで料理が出てくる。

 まず木村とリガチョフの前にワインカラー色のボルシチスープが、ナターシャの前にはアイ
ボリー色のシースープが出された。

 木村がそのボルシチにスプーンを入れ一口飲もうとすると、

 ナターシャが、「それは飲んじゃだめ。」と大声で叫ぶ。 



 木村はビックリし、スプーン落としてしまう。

 ナターシャはリガチョフに、「このスープには何かが入っている。私には分かるのよ。ユーリー
これを持って帰って調べてください。」と言った。

 リガチョフは早速レストランの責任者を呼び自分名刺を見せた。そして、「このスープを別
の容器に入れてもって帰る。絶対に飲むな。」と厳しい口調で話した。

 責任者は大統領補佐官ということでびっくりして、「直ちにこのまま全部別の容器に入れて
お持ちいたします。」と直立不動、大声で答えた。