小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

革命

INDEX|5ページ/34ページ|

次のページ前のページ
 

*****

 髪を高く結いあげ、真っ赤なドレスに身を包み、大きな宝石と自分を最も美しく見せる化粧を施し、薔薇の香料で着飾ったビオレッタと、彼女の後ろで若草色のドレスを身にまとい、小振りながらも上質なダイヤのアクセサリーを身につけたドリーヌが、艶然と大通りを歩いていく。

 彼女達の歩いている通りは、この辺りの娼婦が客との待ち合わせ場所に使う劇場前に続く道だ。娼婦と一口に言ってもそのタイプは様々で、自分の家へと男を引き込む者もいたが、二人はそれを基本的には好まなかった。ビオレッタの家の合い鍵を持つ者はドリーヌと、長年彼女達の世話をしてくれているビアンカおばさん。それに本当に心を許した、その時の‘恋人’が一時的に持つ事を許されるだけだ。

「今日の観劇はなんだったかしら?」
「さぁ、忘れたわ」

 何を観るかなどという事に興味は無かった。それは客だって同じだろう。ただ会ってすぐにベッドに引き入れるのは、彼女たち‘高級’娼婦に対する礼儀を欠く行為だという暗黙のルールがあった。最もビオレッタにとっては、そんなルールこそがとてつもなくつまらなく思えていたのだが。
作品名:革命 作家名:有馬音文