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革命

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 二人はお互いにお互いの事を心から思いやっていた。二人とも貧しさの中で親を失い、当り前のように娼婦になった。それ以外に他に生きる道が無かったのだ。
 けれどビオレッタはただの娼婦で終わるつもりなど無かったから、少しでも階級が上の男に付けるよう努力した。そうしてそういった教養ある男達から様々な事を‘教育’しなおされ、3年も過ぎればビオレッタは立派な淑女のような振る舞いが出来るようになっていた。
 もしかすると彼女は、幼馴染のドリーヌを養おうとすら思っていたのかもしれない。しかし努力するビオレッタを見ながら、ドリーヌもまた自らを磨き続けていた。
 今や押しも押されぬ高級娼婦となったビオレッタ。そしてまたドリーヌもビオレッタには劣るものの、高級娼婦の仲間入りをしていた。

「ドリーヌの相手は?」
「私? 私の今日の恋人はガエル男爵よ」
「ああ、彼ね」

 ガエル男爵は貴族でありながら、革命家達の集まるサロンに顔を出している変わり者だ。しかしガエル男爵の家は既に没落寸前との専らの噂だった。本当に資産のある貴族が革命なんぞに現をぬかす理由が無い。とはいえ――

「最近は革命ごっこが流行っているのかしらね」
 
 独り言のようにビオレッタは小さく呟いた。≪けれど……男達の見る淡い夢なんて、私達の見せる一夜の甘い夢の前では何の意味も持ちはしないんだわ≫そう思うとビオレッタは余裕たっぷりに、一人微笑んだ。
作品名:革命 作家名:有馬音文