革命
ドリーヌの持って来てくれた野菜のトマトスープ煮に口を付けながら、今日の衣装はどれにしようか等と思案しつつ、衣裳部屋になっている隣の部屋へとビオレッタは歩みを進める。
「今日のビオレッタの相手はテオドール様だっけ?」
「そうよ。あの革命家気取りのお坊ちゃん」
テオドールは大きな商家の息子で、貴族では無いが金はそこいらの貧乏貴族とは比べ物にならない程に持っている上客だ。≪あのお坊ちゃんは、赤いドレスが好みだったわね。「燃える炎のような赤こそが君には相応しい」なんて言ってたっけ≫そんな風に思い起こすとビオレッタは、スープをアクセサリーの置いてある小さなテーブルに置いて、赤いドレスを何着か選ぶと再びドリーヌの待つ鏡の前へと戻った。
「どれがいいかしら?」
「そうねぇ……」
ビオレッタの持ってきた4着の赤いドレスを熱心に見比べ、今日の彼女に一番似合う物をドリーヌは選んだ。
「今日のビオレッタはとっても綺麗。肌も澄んでいるし、顔色だっていいわ。だからこの鮮やかな赤いドレスが一番だと思うわ」
そう言って微笑むドリーヌを見て、ビオレッタも笑顔で頷く。
「そうね、ドリーヌが言うなら間違いないわね」