革命
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一通りの紹介が終わると、このサロンの目的についてテオドールから説明がされた。
現在‘革命’を目的としたサロンは国内に実に18か所もあるらしかった。その中の一つがテオドールが主催するこのサロンであり、また昨夜ドリーヌが相手を務めたガエル男爵の出入しているサロンはその18のうちの一つであるとの事だった。サロン同志は横の繋がりを持ち、さらに縦の繋がりとして平民達とも定期的に、身分や資産の分け隔ての無い状況で情報交換が行われているらしい。アルノ―はその平民達との会合でテオドールに気に入られ、現在このサロンの一員として活躍しているとの事だった。
一体なぜそこまでアルノ―という男が認められているのか、やはりビオレッタには理解する事が出来なかった。おおよその説明が終わると、ドリーヌが恐る恐る口を開いた。
「それで……わたくし達は何をすれば良いのでしょう?」
その言葉にビオレッタの神経もピンと張りつめていった。
不安そうな顔をしたドリーヌに対し、テオドールは優しい声で答えた。
「ドリーヌ、君には僕達の世話をして欲しい。といっても男女のそれの事ではもちろん無いよ。なにせ男ばかりだから食事を一つするのにも困っているんだ。活動からしてメイド達の口など信用出来ないしね。君のように夜伽だけでなく、女性としての全ての資質を備えた人ならぴったりというわけだ。は、は!」
そう言って爽やかにテオドールが笑うと、ドリーヌは心底嬉しそうに「まぁ!」と言って頬を染めた。それが作り物の笑顔でない事を、付き合いの長いビオレッタはすぐに察した。
「――――それではわたくしは?」
ビオレッタが尋ねた時、ドリーヌの時とは違う雰囲気が室内を包み込んだ。
「君にはある重要な任務についてもらいたい」
重々しく口を開いたのはテオドールではなくマキシミリアンだった。
そして彼の発したその先の言葉に、ビオレッタは軽い眩暈を覚えた。