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革命

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 屋敷に入るとテオドールは大きなホールでは無く、小さな小部屋の前へとビオレッタを導いた。コンコンと軽くノックをした後、彼は一気に室内へと続く扉を開いた。

「みんなご覧の通りだ! 我々は女神を手にしたぞ!」

 扉を開けると同時に、いささか興奮気味にテオドールがそう言うと、既に室内にいた6人の人間が一斉にわっと声をあげた。
 ビオレッタはそんな周囲の様子に怯むことなく凛とした表情で真正面を見据えたのち、にっこりと微笑んだ。そつ無く挨拶を交わしながら、彼女は集まっている人間全てを品定めする。

 室内にいた人物の中で最初に目に入ったのはドリーヌだった。≪もう着いていたのね。いつから居たのかしら?≫そんな事をチラリと思ったが、すぐに別のメンバーを確認する事へと意識が向いた。本来ならば今日、今この夜に相手をするはずだったマキシミリアン伯爵は威厳をもって、最も奥の豪奢な椅子に座っていた。≪マキシミリアン伯爵の隣にいるのは医者のベートランだわ。その横は弁護士のクレモンね。どちらももっと私が若いころに数回お相手を務めた相手だわ。ドリーヌの隣にいる人――あの人は確か現役の軍人だわ、新聞で何度か顔を見た事があるもの。名前は確か……そう、クロード。それから――あの隅っこの方にいるあの若い子、彼は誰かしら? 見た事のない顔だわ。身なりも決して高級ではないわね。貴族? それとも≫考えながらも笑顔のまま応対するビオレッタに、テオドールが一人一人を丁寧に紹介し始めた。
作品名:革命 作家名:有馬音文