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ドール ノーカット差分

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その時首に鋭い痛みを感じた。
まるで何かに刺されたような痛み。
恐る恐る首を回す。
ピーター人形が俺の首に包丁を突き刺していた。
俺は恐怖の悲鳴を上げながらブレーキを踏んだ。
事故を起こさない様にするためだ。
だがしかし車は一向に止まる気配がない。
何でだ?まさかこの人形の……。
その時再び鋭い痛み。
今度は右肩だ。
その次は左肩。
痛みでうまくハンドルを切れない。
さらに手がハンドルから離れないため人形の攻撃を防ぐことも出来ない。
気がつくと目の前にガードレールが迫って来ていた。
ガードレールを突き破り車はその先の斜面を転がった。
あちこちをぶつけて痛みが走る。
額が割れて血が出ているのが分かった。
車が止まると俺はゆっくりと車の外に這い出た。
身体が受けたダメージのためか立ち上がることが出来ない。
「く……そ……」
俺はなんとか立ち上がろうとするがその望みが叶うことはない。
前方から小さな足音が聞こえてくる。
安奈か……?ああ、そんなわけないじゃないかこの足音は……。
俺は動かない身体を頭を必死に動かして上げた。
すると目の前にはあの悪魔が大きめの石を振り上げて立っていた。
ああ、俺はここで死ぬのか。
意識がゆっくりと遠のいていく。
誰かの声が聞こえた。

ここはどこだ……?
この感触はベッドの上……?
あれ、俺は死んだはずじゃ―。
俺はゆっくりと目を開いた。
そこは真っ白な部屋。
カーテンや心電図モニタが見える。
おそらく病院だろう。
「やっと目が覚めましたか」
男の声がしたので俺は左側に顔を向けた。
医者らしき男が俺を見つめている。
「俺……どうして……」
それだけを口にするのがやっとだ。
「事故を起こしたんですよ」
それは分かってる。
俺が聞きたいのは何で俺が生きてるのかだ。
「俺……死んだはずじゃ……」
「ああ、もう少しで危なかったですよ。偶然近くを通りかかった女性が救急車を呼んだんです」
安奈、そうだ安奈は……。
「娘は……?」
医者は残念そうな表情で首を横に振った。
ああ、なんてことだ。
「でも安心してください、娘さんの遺品はちゃんと持ってきましたから」
え……?安奈の遺品……?まさか―。
医者がどこからかあの悪魔の人形を取り出す。
それと同時に医者の姿が歪み、気がつくと今まで医者がいた場所には冷たい表情の少年が座っていた。
「あとは君だけだよ」
少年が満足気な笑みを浮かべた。
「嫌だ、やめろ―」
少年がその手に持っていた包丁を振り上げた。