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忘れられない人がいる。
生きる宝石のように美しく、ほほえみを絶やさないくせに性格はろくでもない。
私には奴の笑った顔がうそくさく、とても腹立たしいものに思えてならなかった。かつての私と同じように、欺瞞を隠したその笑顔が――。

心に闇を抱えた人間同士の邂逅が生んだ、喜劇のような悲劇がここに始まる。