顔 下巻
「もっとも、私にしても質問などする気はないんだが。」
アイツはニヤニヤしながら、ヤニ歯を見せて。
「おまえさんの一連の行ないに、非常に迷惑しているものが沢山いてね。」
警察?探偵か何かか?・・・超能力・・・探偵?
「子どものままだな。そんなもの。いるわけないだろ。」
じゃぁ・・・いったい・・おまえは・・幽霊?化け物?
「化け物だと?」
アイツは、一瞬、大きな眼をギョロリと動かして。怒ったようだった。
深いため息をしながら、肩をガックリと落とした。
「なんとこの国の民も、落ちたものよ。
厚顔無恥にも程がある。
かつては世界に冠たる民族として。誇りと英知を併せ持った・・
いや、なんとも哀しい末路よ。」
「その昔、おまえたちの先達たちは我々のことをアヤカシと呼んだ。
どうだ、この畏敬と畏怖に彩られた言葉の響きは。真似すら出来んだろ。」
要するに妖怪?
「なんとも不躾な。」
そんなのいるわけないじゃん。
するとアイツは瞬時に、オレの元の顔に・・目の前で変わった。
オレが二之宮に変わるのに二日を要したというのに。
いとも簡単に。しかも笑ってやがる。
本当にコイツは化け物だ・・。