顔 下巻
⑮三日目 #2
小綺麗に直してあっても、ここは取調室だ。
無味乾燥な、コンクリートの壁に囲われた、取調室だ。
それは・・哀しい哉、私の職場、だ。
大川は、なんともやるせない気分になった。
そして、また。一之瀬が目の前に座らされた。
「ところでさ。ここのメシ・・美味いか?」
大川は雑談から入った。
一之瀬は、何も語らず、顔を揺すって一笑にふした。
「いやぁ、ずぅっとメシ喰ってなかったろ、逮捕されてから・・。」
一之瀬は、顔を下に向け、引きつっていた。
「そんなにここのメシ・・不味そうだったか?」
一之瀬が噴出して笑ったので、大川も笑った。
「オレはここのメシ・・結構、美味いと思ってるんだぜ。
栄養も考えられているしさぁ・・。」
一之瀬は、笑い声をあげて。