顔 下巻
⑲ エピローグ
その後、取調室の様子を捉えたビデオが回収され、
鑑識に回され、その内容について、捜査本部は上層部にある報告をし、
異例な幹部会が行なわれた。
即座に、警察庁、法務省の官僚たちが招集され、
その驚愕の内容について検討した。
警察庁の上層部がマスコミのトップを集め報道統制を強いた。
強行に反対するものもいたが、そのビデオの内容を見たものは一様に沈黙した。
捜査本部は解散、関わったものすべてに緘口令が敷かれた。
漏れ伝わるところによれば。
「アメリカ女が映っていた。」とか
「闇医者が映っていた」とか
「口に出来ヤシねえようなもんがいっぱい」とか
取り留めの無いものばかりだったが、皆、口をすぐに閉じた。
一之瀬は獄中自殺と事務的に処理された。
その後、クリスチャンを自認する法務大臣が
健康上の理由から突然、辞任した。
公安部は、取調室のビデオについて「開封厳禁」とシールを貼り
東北地方の山岳地帯に掘られた秘密の倉庫に保管した。といわれる。
その際、異例なことに僧侶とか神主とか民俗学者が大量に招かれたという。