顔 下巻
そうさ。オレはさ。
オレは、責任能力なんて微塵も無いキチガイなのさ。
たまたまスケベな金髪女が逝く寸前にクビを締めて!って
ねだっただけじゃないか!
闇医者は、オレにてめえの女房を抱くように強要しやがった。
あのボロ雑巾みたいな。
あの女ぁ、オレの元の顔知ってやがって、
オレを売るとか言い出しやがったんだ。
他のヤツぁ、ジロジロオレをさ。
オレを見る目が、いちいち気色悪かったのさ。
奴らとの・・
化け物との境界線を踏み違えた現代人の罪穢れとやらを!
一身に背負う気なんて無いね!
ゴツゴツと窓ガラスを叩く音がした。
なにかとても冷たい空気を感じ鉄格子のはめられた窓の外を見た小山が、
悲鳴を上げ椅子から転げ落ちて。
大川は、カッと目を見開いたまま。
口を空けたまま。
無言のまま。
唾液が口から垂れていくのがわかるが、身動きも取れない。