顔 下巻
此処に来てからわかったんだ。オレの、オレのさ、能力は、顔だけじゃないんだ。
ヤツの手術のせいじゃなかったんだ。オレ、オレはさ。体も変われるんだよ。
ハハハ、どうだい、凄いだろ!」
小山は驚嘆し、自らの胸を押さえた。
驚愕する二人を前に。一之瀬は不適に笑った。
机に伏し、呻き声をあげると、嗚咽を漏らし。
顔を持ち上げると。
大川は自らの眼を疑った。
と、同時に狂ったように喚きたい気持ちをなんとか抑えようと
息を呑んだ。だが、驚きのあまり、口を塞ぐことは出来なかった。
一之瀬は笑った。
「初日にじっくりとあんたの顔を観察させてもらったんだ。」
大川は、自分の目の前にいる男が、
自分の顔に変わっていることが信じられなかった。