顔 下巻
“キチガイ“
大川はその言葉が脳裏に浮かんだ。
同時にその言葉を聞いている自分にも置き換わるような怖さを感じた。
「おまえは本当は一之瀬じゃなくて三島なんだろ?」
大川は自分がなにを云っているのか、正直、わからなくなっていた。
だが、理性的に振舞うには・・その結論しかなかった。
「顔を変えるだと?そんなことが出来るわけがない!」
小山が、大川を制して。
「大川さん、コイツのDNA鑑定の結果みたでしょ、一之瀬本人ですよ!
死体のDNAの結果も三島のものであることが判明しています。」
大川は、なにか胸に詰まったものを吐き出すようなものを
吐露するのを止めることはできなかった。
「DNAだと?!
そんなもの!
間違って冤罪事件を起しているようなものを、
まだ、信用しろっていうのか?!
見ろよ、この男の顔を!パスポートの写真どおりじゃないか!
日本国政府が証明した三島の顔だぞ!」
フッと、軽く噴き出した一之瀬は。
「面白いものを見せてやるさ。」
胸を張り出すと一気に息を吸い込み、
胸板を突き出すと女性のような乳房が膨れ上がった。
「小山さんよ、あんたのBカップだ。あん?いやCカップはないな?」