顔 下巻
最初は、ここにもいるんじゃないかって。
飯も喰えなかった・・・。
オレ、そういやぁ、逃げ始めた最初の頃は
やっぱりメシを喰えなくて2 週間ぐらい喰わなかったしさ・・。
だが、今度は逃げ場所が無いじゃない・・。
「いったい・・誰が?・・入ってきてるんだ?」
骸骨面の化け物野郎が・・・独房の天井に出やがった。
他の奴らも・・なんだかオレのさ。オレの知らないヤツらも。
やつらに見つかっちまった・・・。
オレのさ。オレの命を狙ってやがるんだ。
昨日の夜は・・・小さいヤツが腕に喰いついてきやがった。
追っ払うのに必死で・・眠ることも出来なかった。
大川は、刑務官の日誌に目をやると
確かに、夜中にずっと一之瀬は喚き散らしていた。とある。
意味不明な言動を繰り返し、隣りの独房から大声で怒鳴られた。
が、止むことは無く、あまりの半狂乱な状態のため
気味悪がった隣りの被疑者は恐れをなし、下着泥棒を白状した・・・。