顔 下巻
「狡猾で頭の優秀なおまえが。
捕まったのには・・理由があるはずだ!」
大川は立ち上がった。
そのまま、数分の無言の緊迫感が流れて。
三島の顔をした一之瀬は、そのとき顔が引き締まった。
悟ったんだよ、逃げられないって。
警察ぅ?笑わせんなよ。
奴らからさ。
奴らは何処にでもいた。
旅行屋にも、博多の売春宿にも、逮捕されたときだって、すぐ横にいた。
だから警察に保護してもらおうって思ったのさ、いや、オレ。
オレのさ、精神的な部分がさ。限界に来ていたんだ、ホント。
でなきゃ、捕まることないだろ。どうかしていたんだ。
そしたらさ。
奴ら、警察署にも、この刑務所にもいるんだ。
だからさ、なんでも喋る気になったのさ。
牢屋の中にも・・入ってきてるしな。