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顔 下巻

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 ⑰三日目 #4


大川は、正直、まともな神経の話では無いと、思い聞き流していた。
「おまえさん、精神鑑定でも狙ってんのかい?」
一之瀬は嘲り笑いをした。
笑い声は、取調室に響いた。

そうだよな。そう思われて、当然だよな。
それからのオレは。オレはさ。神戸の街を彷徨った。
しかし、追いかけてくるんだ、奴らが。
肩がぶつかった相手を見ても、通り過ぎる親子の顔を見ても。
金髪女や、藪医者に、二之宮や、そのほか・・・奴らの顔に見えるんだ。
いや・・そうじゃないな。まるで、顔の無い・・なにかに。

べつに何をしてくるわけじゃないんだ。
ただ有りもしない目で・・オレのさ、オレの方を見ているだけ。
ただ、見ているだけなんだけど・・段々近寄ってきて。
日に日に、オレとさ。オレとの距離感が近寄ってきやがって。

そして宅配便のドライバーを装い神戸を離れ、博多に行った。
だが、奴らはここでもオレを、オレをさ。追いかけてきやがった。
だから、沖縄に行こうって思ったんだが、え?言葉が通じるだろ。
けど、どうせ姿を眩ませるなら・・半島でもいいかなって思ったのさ。
作品名:顔 下巻 作家名:平岩隆