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アリス・スターズ
アリス・スターズ
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妊婦アリス・スターズの話

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2011年2月15日


 アリスは、会社に電話していた。相手はソフィアだ。
「退職日、3月15日にすることにしました。」
 結局、アリスは退職日を早めることにした。
 当初は出産6週前にあたる4月30日まで仕事を続ける予定だったが、犬舎の中は滑りやすく転倒の危険もあり、犬の鳴き声もうるさく耳栓をつけなければならない程で、シンシアに影響が出ることを懸念して決めたことだ。
「残念じゃけど、仕方ないよね。退職届が今週中には届くと思うから、書いてことづけてね。」
「分かりましたー。」

 その土曜日には退職届が家に届けられた。
 会社の印鑑を使うのか、自分で持っている印鑑を使うのか分からなかったため、家でその用紙をコピーして2通り準備することにした。住所と名前を記入し、片方には手持ちの印鑑を押す。もう片方は印鑑を押さないまま、会社に届けることにした。
 翌日、近所に住む上司に退職届をことづける。
「これで退職まであと1ヶ月になったんかー。長かったよなー。」
 高校を卒業して、すぐに入社した。たった15人の従業員とはいえ、2人目の20代、唯一の若い女性社員として期待されていたように思う。確かに力仕事も多く、辛いものではあった。残業もそれなりに多いし、腕は犬の引っかき傷が絶えないし、衛生を気にするため消毒用ハンドソープで洗えば、冬場は腕にあかぎれの症状が出ることもあった。仕事に対する姿勢に厳しい上司もいた。
 それでも、この会社が最初に勤めた会社でよかった。アリスはそう感じていた。

 出勤はしないが、退職まで1ヶ月を切ったことになる。