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アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
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妊婦アリス・スターズの話

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 画面を分割し、シンシアの足を下から見た図を左画面に一時停止する。右画面には頭を映し出し、それぞれサイズを測っていく。足の骨の長さは3.41cm、頭は5.44cmだ。次は左画面に腹部、右画面に顔。胴の面積は20.06c?で、同時に表示されたシンシアの予測体重は448gだ。これは21週の標準で、現在22週だから少し小さめだが問題ないとのことだった。
 3Dに切り替えられた画面では、顔の前で腕をクロスさせて必死に顔を見せまいとするシンシアの姿が映し出された。
「ここが目で、これが鼻ね。口は隠しとるから分からんね。」
 前回の3Dエコーでも顔を見せてくれなかったシンシア。結構恥ずかしがり屋なのかな、とアリスは考えることにした。
 エコーが終了し、看護師にゼリーを拭き取ってもらってから服を整えてベッドを降りる。今回も存在感のないクロエの前を通り過ぎ、アイリーン先生の前に座る。
「貧血が出てますねー。」
 そういえば貧血の検査があるんだった、とついさっき採血をしたにも関わらず忘れていたアリス。やはりと言うか当然と言うべきか、ヘモグロビン値は9.8まで下がっていた。基準となる11.0を大幅に下回っているため、鉄剤が処方されることになった。処方箋の用紙に「フェロミア錠50mg」と「メチコバール錠500μg」が記入される。フェロミアが鉄剤、メチコバールが鉄の吸収をよくするためのビタミン剤だ。1日2回、朝夕食後に飲むことになる。
 以前フレンディアクリニックに通っていた頃、一度鉄剤を飲んでいた経験があるため、
「鉄剤飲むと便秘が酷くなるんですけど。」
 と切り出すことができた。
「それじゃあ便を柔らかくする薬も出しておきますね。」
 メチコバール錠の下に、さらに「マグラックス錠330mg」も追加される。これは毎食後1回2錠飲むことになるが、あまりに便が柔らかくなりすぎるようなら量を減らしてもいいようだ。
 支払いを済ませ、隣の薬局で薬を受け取る。フェロミア錠はジェネリック医薬品があると言われ、「フェロチーム錠50」に変えてもらうことにした。効果が同じなら安いに越したことはない。

 病院が終わり、ついでにいつも行っているゲームセンターに顔を出す。小さく分かりにくい場所にあるが、山口県では結構有名なゲームセンターだ。シンシアがやってきても、土曜日に来る習慣は変わらない。
 フィノンがアリス達に気付き、ベビーカーのミオと一緒に寄ってくる。
「どうじゃった?」
「女の子!」
 姉妹ゆえの短いやりとり。フィノンはアリスのまだまだ分かりにくいお腹をなでたり、半分寝かかっているミオに「ミオは分かってたんじゃろ?」などと言ってみたりしていた。
(そっか、女の子かー。)
 考えるだけで顔がにやけ、妄想がふくらむ。まだゲームセンターの中だからよかったが、これが他の場所ならかなり怪しい人物に見えるに違いない。