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アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
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妊婦アリス・スターズの話

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「すみませーん。」
「はーい。」
 一番近くにいた女性が反応してくれた。
「えーと、母子手帳をもらいに来たんですけど。」
「はい、少々お待ちください。」
 近くにあったソファーに座って、担当者が来るのを待った。近くの部屋ではちょうど1歳6ヶ月検診をしているらしく、多くの母親と子供が集まっていた。
(しかし、母子手帳かー。)
 当然、初妊のアリスは母子手帳をもらうのも初めてである。母子手帳自体は妹に見せてもらったことがあるし、自分が生まれたときの母子手帳も実家に行けばあるのだが。
(なんか、いよいよって感じやなー。)

 担当者と合流し、別室に入る。
 妊娠届を渡され、それに記入していく。その間、担当者はまたいろいろな書類を準備していた。
(妊娠が分かったとき、どう思ったか――)
 考えるまでもない。「嬉しかった」の欄にチェックを入れ、理由のところにも「ずっと不妊治療をしていたから」と書き込んでおいた。
(嬉しいに決まっとるじゃんか。何のために不妊治療しおったんよ。)
 あらかた書き終わった頃、書類の準備も整ったようだ。目の前には真新しい母子手帳。妹の下の子と同じ表紙だ。
「不妊治療してたんですか。待望の赤ちゃんなんですね。」
「そうなんですよー。」
 不妊治療の末妊娠したと言えば、だいたいがこのような反応を返してくる。この担当者も例外ではなかった。
 それから、補助券の話、それについている子宮頸がん検診の問診表、妊婦検診のことからまだまだ先の生まれた後のことまで話し、部屋に積んであった中から糖尿病デーのライトアップの情報が載っているものをもらって、保健所を後にした。

 タント君に戻ってきてから、封筒に大量に入れられた書類――病院でもらったものもまとめておいた――から、母子手帳を取り出す。まっさらなそれを開きながら、思う。
(うわぁ、テンション上がる……これで完全妊婦やわ!)
 フレンディアクリニックで感じたあの感動が、またよみがえってきた。