小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

妊婦アリス・スターズの話

INDEX|13ページ/40ページ|

次のページ前のページ
 

 そこにあったのは、当然内診台である。だが、フレンディアクリニックで見ていたものとは明らかに違う点があった。
 まず、向きが違う。明らかにエコーの機械はさらにもう1枚あったカーテンの向こう側に見えるのに、見当違いの方向が正面になっているのだ。それと、足を乗せる位置がすごく閉じている。今までフレンディアクリニックの内診台しか見たことなかったアリスにとっては、軽いカルチャーショックだった。
 とにかく、座ってみる。座ったところの正面の壁には「スリッパを脱いで、膝にタオルをかけてお待ちください」と書いてあるので、そのようにする。
 カーテンの向こうからアイリーン先生の声が聞こえた。
「準備できた?じゃあ台を上げますね。」
 おそらく向こうで内診台の操作をしたのだろう、機械的な音声でこう言われた。
《台が回転しながら上昇し、足が開きます。》
(えっ、マジで?)
 まず、内診台が回転するということに驚いた。それと、足乗せも後で開くタイプらしい。そんなのもあるんだ、と感心する。実際その通りにアリスの体は持ち上げられていった。
 内診が始まると、内診台と先生の間を仕切っていたカーテンが開けられる。エコーの画面も、その時きちんと確認できた。
「見えますかねー?これが胎嚢で、これが赤ちゃんね。」
 赤ちゃんのサイズは12.1mm。今日、7週4日の標準のサイズだ。心拍もしっかり確認できている。
(あぁ、ちゃんと成長してるんだ。)
 改めて赤ちゃんの存在を実感する。体にはまだ何も変化がないのに、不思議な感覚だ。

 あっという間に内診は終了し、診察室に戻る。基礎体温表の上にそれとなく、アリスが持ち帰る用のエコー写真と、ピンク色のエコー写真用アルバムが置いてあった。
「次は2週間後に来てください。それまでに母子手帳をもらってきてくださいね。」
 採血と子宮がん検診をするらしい。その時に市の補助券があれば公費で受けられるようだ。次に、束になった資料を渡される。
「その時に希望で受けられる検査があるので、どれを受けるか決めておいてください。」
 自費にはなるが、妊娠出産において重要な検査が受けられるらしい。クラミジア、トキソプラズマ、ATL、乳がん検診の4つだ。今はまだ乳がんのリスクは低いので受ける必要はないかも知れないが、他の3つは受けたこともないし、受ける価値はあるかも知れない。あらかた理解したところで、今度は白いDVDディスクを渡される。
「うちではエコーの画像をこれに保存してますので、次来るときに名前を書いて持ってきてくださいね。」
 いつの間にか、エコーが録画されていたらしい。そんなことは一言も聞いていなかったので、アリスは素直に驚いていた。
 最後に、支払いの後に助産師さんからの話があるから聞いて帰ってくださいと言われ、診察室を後にした。