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透夏(とうか)
透夏(とうか)
novelistID. 1875
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続々・三匹が行く

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 そんな思いで笑いを浮かべた後、イジューインはふうっと大きく息をつくと手近にあったセンリの剣を手にして部屋を静かに出ていった……












「で……」
 宿の裏手。小さな泉の側でイジューインはぴたりと足を止めた。
「懲りずにまた来たわけ?」
 彼の周囲には誰の姿もない。
 気配すら感じられなかったが、イジューインは確かにそこにいる誰かに向かって話をしていた。
「我らに気づくとは……何者だ?」
「気配は確かに消してたけどね。でも分かったんだ」
 そんなイジューインに敬意を表したのか、それともたかが子供だと思われたのか、少し離れた木の陰から彼らは姿を現した。五人……いや、六人。
 一人は黒いローブに身を包み、あとの五人は同じく黒いぴったりとした衣服を身に纏っている。
 陽の下に出れるものではないとその姿から分かった。
「テンプルナイツに護られている王子を再度暗殺に来るだなんて、相当腕に自信があるんだね」
 皮肉げにイジューインは告げる。
 しかし当のテンプルナイツはといえば、今ごろは心地よい夢の中であろう。
 センリが見つかった祝いで酒盛りをしていた事をイジューインは知っていた。
「全く。第二だか第三王子だか知らないけど、馬鹿だよね。本当に自分たちが王に相応しいと思ってるのかな。身のほどしらずって言うんだよね、そういうの。例えセンリを暗殺したからってどうにもならないだろうに」
 しかし、目の前の一団はイジューインの言葉をあっさりと否定した。
「我らが引き受けたのは王族の暗殺ではない」
(……センリの暗殺じゃ、ない?)
 嘘かとも考えたが、この状況で嘘をつく利点が考えられなかった。事実、暗殺者たちは言葉を続けていく。
「我らの狙いは―――――」
「!?」
 ザッ
 一陣の風が吹いた。
 木々が草がその風に揺れる。
「……そう。そういうこと……」
 イジューインが静かに呟く。
「なら、尚の事ここを通すわけにはいかないね」
 持ってきたセンリの剣を抜き、鞘を邪魔とばかりに投げ捨てる。
「ならば力づくでも通してもらおう」
 五人が一斉に剣を構え、一人は呪文を唱えだす。
 しかし、彼のその呪文は完成しなかった。
「……な!?」
 いつの間にそこにたどり着いたのか、イジューインの剣が魔道士の喉を切り裂いていた。
 ゴトリと音を立てて首が地面に落ちる。