夢路を辿りて
第4話 あの頃のように笑って
あれから数週間が経った頃になると、光彦にやっと再会の戸惑いが消えようとしていた。
それは一度ならずも、二度の不思議な再会であった。となれば、二度あることは三度あるというわけで、光彦は雅代に遇った後、もしかするとと思いながら毎日を過ごしていたが、それは単なる思い過ごしのようで、光彦の変わらぬ毎日は、日、一日と過ぎて行ったのだった。
それから数日が経ったときの夕方だった。
その日は正午を過ぎた頃から、道行く人たちの中に喪服姿を多く見かけていた光彦は、近所の誰かが亡くなったのかと思い、そうなると自分も顔を出さなくてはいけないと、急いで隣の店へと出掛けて事情を聞いてみると、どうやら近所のどこかのお宅、ということではなかったようで、たまたまこの通りを、ああして通り過ぎて行っただけのようだったが、その店に来ていたお客が言うには、この商店街を抜けて山手に沿って行ったところに、数年前から開いた絵画教室があって、何でもその教室をやっていた先生が、昨日亡くなったらしいとのことだった。
その話しを聞いて、そう言えば以前から自分の店にも、絵画教室に通っているというビジネスマンや、子ども連れの主婦がやって来ていたが、なるほど、そこの絵画教室へ通っていたのかと光彦は納得していた。
しかしそこの先生が亡くなったとなると、そうした常連さんも、これからは減るのだろうと思いつつ光彦は、そのお客にもう少し絵画教室のことを聞いてみると、その絵画教室は“高島アートスクール”といい、何でも昔は、自宅で絵画を教えていた絵の先生が、そのマンションに引っ越してからは、マンションのテナントを借りて教室を始めたらしく、なかなか盛況だったらしい。