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地球が消滅するとき

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第2章


 6万平方キロを有するイトゥリの森に到着して10日になる。
 毎朝、悲しげな叫び声に目を覚まされる。カンムリエボシドリという名の鳥で姿はまだ見ていない。
 僕たちが居住するのは、甲子園球場ぐらいの広さがある開けた場所の一隅を借りてこしらえたカプセルハウス。宇宙ステーションの応用型で、簡単に組み立てることができるのだ。太陽光で発電した空調室もあって、高温や湿気に弱い機器類が鎮座している。ウガンダ州のカンパラにある日本大使館で保管してもらっていたのをトラックに積んで一緒に運ばれてきた。

 未開地で、凸凹道を覚悟していたのだが、森林地帯の北側を通ってコンゴ州のキンシャサまで、立派な道路が貫通しているのだとか。
 イトゥリの森にしても、いろいろな人種が入り込んでいて観光地化している。
 ピグミーの健康調査は、今までに十分行われているものと思う。よってウイルスの存在調査が主体となれば、僕の出番が増えるということだ。
 探検部にいたという榊原君は、学部では考古学を専攻していたそうだが、井伊さんのシンポジウムでピグミーの話題が出てから、人類学に転向したという。

 そうそう、通訳のボンザリ・カタンガ君。
「よう来てくれはりましたな。お疲れでっしゃろ」
といきなり大阪弁で迎えてくれてみんなあんぐり。容貌と会話とがマッチしていないからだ。しかしすぐに意気投合した。

「日本に留学してはったんでしょ」
「そうでんねん」
「どこの大学に行ってはったんですか」
「大学やおまへん。吉本総合芸能学院に入って、大阪で6年ほど暮らしてましてな」
「漫才ですか」
「カバン持ちみたいなもんですわ。アフリカから来たゆうことで日本のあちこちに行かしてもらいました。そやけどな、おやじが死んでこっちに戻らんならんようになってしもうて。軍隊に2年ほどいてから州政府に採用されて、雑用なんかやってます。なんでも言いつけてもろてよろしいさかい。協力さしてもらいまっせ」
と、こんな具合である。

 おばあちゃんの影響で漫才や落語が好きで、テレビのお笑い番組で育った僕は、暇ができるとボンザリ君と話し込んでしまった。『メッセンジャー』の黒田やあいはら、『女と男』の和田や市川らの話題で盛り上がってしまう。
作品名:地球が消滅するとき 作家名:健忘真実