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地球が消滅するとき

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 大阪都立大学は、大阪府と大阪市が一つの行政となって大阪都となった時に、大阪大学と大阪府立大学、大阪市立大学が合併してできた大学で、発足して6年になる。本部は北区中之島に置かれている。が、従来の施設を有効に使おうと、大阪都北部にも南部にも散らばっている。
 こういったシンポジウムは、元大阪大学があった北部の豊中市で開かれることが多い。

「関係ないかもしれませんけど、ちょっとおもしろいことに気付いたんです。僕、歴史が好きなんですけど、インフルエンザが流行した直前の1914年から1918年は第一次世界大戦があって、2003年いうたら宇宙探査機はやぶさが打ち上げられた年やなあ、とふと思いました」
「関係ないでしょうね」
 井伊さくらはきっぱりと言いきった。
「たぶん・・・」と小さい声で付け足して。


『もしもし、僕、先日のシンポジウムを聴講してた獣医学部の石田いいます。ちょっと聞き及んだんですがコンゴに行かはるてほんまですか』

「はい。今参加者の選定と、資金援助してもらえる企業を数社あたってるとこです」

『僕も行きたいと思いまして』

「それでは当方のホームページにある書式に従って必要事項を記入してください。特技なんかは詳細に。それと推薦者からも別の書式に記入してもらうことになってますので」

『分かりました』

「獣医学部は和歌山に近いとこにあるんですよね。もし決定されたら準備や打ち合わせでこっちに来てもらわないとあかんのですけど、それはOKですか」

『大丈夫です。実家は池田でそことは近いんです』

「それでは、ご一緒できますように」
 井伊さくらは、やれやれといった気持で研究室の受話器を置いた。資金調達のめどがまだたっていないのだ。

 窓からは初夏の日差しが差し込み、新緑がまぶしい。紅色と白色のつつじが勢いよく咲き誇っている姿が見渡せた。
作品名:地球が消滅するとき 作家名:健忘真実