アオゾラ
でも、真面目なこいつはもちろん先の約束を優先する。当然だろう、俺だってそうする。それなのに断られると、鳩尾から体中に熱が広がってきて、『なんで俺を優先しないんだよ!』なんて気持ちで頭がいっぱいになる。
そのイライラを上手く隠せなくて、ついあたってしまうのに祥吾は今みたいに眉を下げてただ笑うだけなんだ。
その顔を見るたびに俺の心臓はキュッて硬くなる。
胸が痛い―。
キュッて音がする―。
あぁ、イライラする。ホント雨ってイライラする。でも、このイライラする気持ちが「イライラ」以外に表現する言葉が見つからないんだ。
「しょうごぉー・・・。」
気づけよ、この鈍感バカ。何年一緒にいると思ってるんだ。
「(あぁ、頭いてぇ・・・。)」
「だから、どうしたの、」
祥吾の柔らかい声が痛む頭を優しく撫でていく。
机に伏せて、鈍く痛む頭をゴロゴロと押しつける。雨の落ちる音さえも鈍器のように頭を叩いてきた。
カサリ、と祥吾がページをめくる音が聞こえる。こうしている間にも祥吾は淡々と読み進めているのだろう。あれ、祥吾はこんなに読書が好きなやつだったっけ?
「ねぇ、」
「俺、雨嫌いだっての・・・知ってた?」
いつも一緒にいたはずなのに、どんどん知らないことが増えてくる。それに気づいた今ではもう手遅れで、ただただ焦ってイライラが増していくカラクリ。
祥吾がわからない。祥吾にとって俺は何なのだろうか。
どうして離れていこうとするんだ。俺たちずっと一緒のはずだろ。
こんなに近くにいるのに、