アオゾラ
「しょうごぉ・・・。」
「なに?」
それにしても、どうしてこいつはこんなに涼しそうなんだ。
外は朝からしとしと雨が降り続いている。
雨はきらいだ。
「はぁぁ・・・(アツい)」
体がベタベタする。田舎の公立中学に冷房なんて大層なもんは保健室か校長室くらいだろう。
こうして机に臥せっていると、白いシャツの胸の部分が茶色い塗料で汚れてしまう。
こっちは暑さで呼吸にさえ嫌気がさしてくるっていうのに、こいつはいったい何だ。どうして、こうも汗一つかかずに本読んでいられるんだ。
だいたい、読書ならせめて健全な男子中学生らしく、ジャンプとか法律的にはまだ買えない本だとかを読んでいれば、まだ可愛げもあるのに。
「おまえ、暑くないワケ?」
「ん、そりゃ暑いよ。もう初夏だしね」
「初夏ってなんだよ、夏でいいだろ、かっこつけやがって・・・」
「もう、アキラ・・・暑いからっておれにあたらないでよ」
最近こいつにイライラしてしょうがない。祥吾の言葉の一つ一つがひっかかる。
それなら、一緒に居なければいいのかというと、そうでもないらしいのだ。こないだこいつをほっておいて、ほかの友達と遊びに行ってつい祥吾の名前を呼んでしまって大恥をかいたことは思い出したくもない。
逆に、こいつが遊びに誘われてる場面をみると邪魔して、用もないのにわざと他のことに誘ってたりたくなるんだ。