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恋の掟は春の空

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人ごみの新宿から静かな街


途中でお蕎麦屋さんに寄って、それから新宿の西口に来ていた。有名大型電気店に入って、ノートを鞄から引っ張り出して品物を選んでいた。
まずは冷蔵庫かららしかった。

「あのぅ劉、冷蔵庫は私大きいの買うね。で、劉はTVおっきいの買いなさいよ。それ いいでしょ・・」
「あ、いいけど、じゃぁ直美はTV小さいのでいわけ・・」
「うん、どうせ劉の部屋で見ちゃうから」
じゃあ、ご飯は直美の部屋で食べるのかなぁ・・って考えていた。
ま、冷蔵庫はそこそこので 俺はいいやって思ってたから、それでいいと思っていた。
「では 冷蔵庫は直美が自分のも劉のも選ぶから、TVは劉が両方選んでね」
冷蔵庫を選んで、TVを選んで、それから洗濯機はなぜか、同じ品物の色違いを買わされた。
「だってさ、まったく一緒だとボタンの操作も一緒だから楽じゃん。そうしたら機嫌よければ劉のも洗ってあげられるわよ」
直美の意見だったけど、そんなに洗濯機って操作がむずかしいとは思えなかったから 笑えた。
他の炊飯器とか電子レンジとかもまったく同じものを買っていた。色が選べるものは色違いだったけど。
買い物の始めに、元気そうな店員を捕まえて引っ張りまわしていたけど、ちょっと不思議な顔をしていた。配送先の住所を伝票に書いてる時も「あれ、同じマンションの部屋ちがいですか・・」って言われていた。俺の返事は笑うだけだったけど。
「配送は1番早くて あさってになりますが・・」って言われたので 「そこを なんとか・・」って ものすごく粘ったら、なんとか無理やり「明日の遅い時間なら・・」って言ってくれた。
「やったー ありがとうございます」って元気な声を直美は出していた。
こんな時もきちんと お礼を言うのが直美らしかった。
思ったより、予算内で収まったいた。時期的にSALE品が並んでいたからだった。
「直美も予算ないで収まったかな?」
「うん、大丈夫。けっこう上手に買えた気がする」
満足そうな笑顔だった。

腕時計を見ると4時をちょっと過ぎていた。
「早いけど、行っちゃおうかな・・」
「うん、そうしようか・・ね、お土産とかは買っていかないの・・」
少しは考えていたけど、なにがいいのか、さっぱりわからなかった。
「駅前のデパートでなにか 買ってたほうがいいよぉ きっと。私が選ぼうかぁ・・・お子さんとかは幾つなの?」
「え、あ、子供はいなんだよね。だから それは考えなくていいよ。叔母さんが喜びそうなのを 選んでよ、直美が・・」
「うん まかせてよ おいしいのを選ぶのじょうずだもん」

少し歩いただけで 駅前のデパートだった。
地下に入ると、人があふれていた。
「和菓子がいいわよねー わー なんか全部おいしそうだねー」
たしかに どこの店のお菓子も、そりゃぁおいしそうだった。
「わー悩んじゃうなぁ ねぇ ここの京都の和菓子いろんなのを箱に詰めてもらおうか・・かわいいし これ」
お店の横のガラス張りの部屋の中で職人さんが、みごとな手さばきで和菓子を丸めていた。丸めていたって表現はあってるのかどうかは わからなかったけど。
「うん、じゃぁ ここにしよう」
言いながらお店の店員さんに話しかけていた。
「選んで詰めてもらえますか」って言うと「もちろんですよ お好きなものをおっしゃってくださいね」って言われているようだった。
直美は、すごく一生懸命に選んでいた。自分が食べるわけでもないのに・・。
「はぃ これで お願いします」
箱に詰められた和菓子はとっても春らしくって綺麗だった。直美らしかった。
「以上でよろしいですか」
店員さん俺のほうまでみて聞いてきた。
「えっと、あのう これとこれを 別に一つずつ下さい。これは おつかいものじゃないです」
なにを言ってるのかと思った。
「おいしそうだから、 食べようっと」
うれしそうな顔をして、こっちを振り返っていた。
「食べちゃうの?」
「うん」
「どこで食べるのよ・・」
「デパート出たらすぐに」
彼女も言いながら笑っていたけど、こっちもおかしくて笑いがとまらなかった。

それから 人ごみを抜けて1階に出て、デパートを出ると本当に包装紙から和菓子を出していた。
「わぁー ほら おいしそう・・・。うーん おいしいぃ」
間違いなく それは 俺が大好きな直美だった。

作品名:恋の掟は春の空 作家名:森脇劉生