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神待ち少女

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 家は石川台駅付近の坂を上ったところにある。駅の近くはほとんど何にもないし、駅も小さい。個人的には静かで好きだ。あまりごみごみとしていると疲れる。ここらへんの雰囲気は落ち着く。坂を下りて駅へ向かう。
 新宿までは高校の定期圏内である。山手線が定期圏内なのは嬉しい。
 足早に改札を通り抜け、電車を待つ。この時間帯ならそんなに混んでないだろう。この駅にもあまり人はいないし。
 周りを見渡すたび、小さい駅だなぁとつくづく思う。これが地元というものいずれなるのかな。
 電車に乗り込む。思ってた通り空いていた。席は空いてなかったので、扉付近に立つことにした。
 そしてポシェットからイヤホンを取り出して、音楽を聴き始めた。音楽は基本なんでも聴くが、最近流行りの歌はあまり自分には合わないようだ。
 西野カナとかがいい例だ。会いたい会いたいばっかり。恋愛至上主義みたいな。まぁ歌詞を書いている彼女も若いし、恋愛が一番!恋愛が楽しい!っていう時期なんだろうね。否定はしないが。そういう類のことは、学校で絶えず繰り広げられる恋バナやのろけ話で十分だ。聴いててつまらない。ファンの方には申し訳ないが。
 イヤホンからジャニス・ジョプリンのmove overが流れてきた。
 ジャニス・ジョプリンは好きだ。ステージでの魂のこもった圧倒的な歌声とは裏腹に、内面では知的でシャイ、繊細な家族思いの人物であったらしい。そのギャップがたまらなく人間らしい。あの歌声には私も心を揺さぶられたよ。人ひとりでもあそこまでのエネルギーが出せるんだ、そう思った。まさに、これが私の生き様だ!っていう感じが伝わった。
 音楽の話はこれくらいにしよう。電車は特に混むこともなく、終点の五反田まで着いた。学校の帰りの帰りのときは人の行き交いが多く、混んでいるが、またしてもこの時間帯だとそんなことはなかった。
 学校に行くときと同じように山手線のホームへと向かう。山手線はだいたい混んでいるだろう。そんなイメージを持っていた。みんなよく使うしね。ホームに着き電車を待つ。そろそろ4時になる頃だ。
 そういえば新宿についてからどう時間つぶしをするか考えていなかった。手持ちのお金は2000円弱。買い物は厳禁。まぁ見るだけなら…。それで3時間以上は無理だな。そんなに歩くと疲れる。立ってるのも億劫だ。
 じゃあどうしよう?とりあえず座れる場所。そして静かで、できれば一人になれるところ。
 そう考えたとき、真っ先に思い浮かんだのは図書館だったけど、さすがにないだろう。とすると?
 あ、ネットカフェだ。そういえば1時間無料券を何枚かもらった気がする。クラスの男子から。行ったことないって話したらくれた。どうせ行かないだろうと思ってたけど、こんな形で役に立つとは。
 よし、ちょっと新宿の街を歩いてから、ネットカフェで時間を潰そう。

作品名:神待ち少女 作家名:ちゅん