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神待ち少女

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「ただお金を貸すだけじゃ、面白くないし、ナナも納得いかないでしょ」
 コーヒーカップにスプーンを入れたまま、ぐるぐる回している。
「ん、それはさすがに申し訳ないわ」
「そう言うと思った。だからちょっと提案なんだけど」
「何?」
 柊は前かがみになった。
「今日みたいに夕食を一緒に食べよ。たまにはナナの家に泊まったりしてもいいし。ただ端にお金をぽんってあげるよりそのほうが楽しいし、私も悪い気はしないよ」
 コーヒーカップからスプーンを出して、チンっと音を立てた。
「でも、結局柊からお金を援助してもらうということに変わりはないけど……」
「いいのいいの、気持ちの問題だよ。言い方を変えれば、お泊りっこするみたいなもんだよ。ね?そのほうが楽しいよ」
 お泊りっこか。確かにそれは楽しそうだ。柊が泊まりに来るなんて、嬉しい限りだ。
「でも、それ家族は許してくれるの?」
 柊の家庭はとてもお金持ちだ。また、とても厳しいらしい。特に父親の権力は絶対のようだ。一人娘である柊は、箱入り娘として育てられてきた。
「親父のこと?大丈夫大丈夫!あいつなんだかんだいって、私のことがかわいくてしょうがないのよ。思春期の娘の我儘くらいきっと許してくれるよ」
 ははっと笑いながら言う。
「それならいいんだけど……」
 やはり柊の笑っている顔を見ていると、安心してしまう。
「じゃあ決まりね。はい、決定!」
 手を差し伸べてきたので、2人は握手した。これでいいのだろうか……きっと、いいんだよね。2人はにこっと笑いあった。
 この後、2人は別れて、家に帰った。柊は、早速明日に家に来てくれると約束してくれた。家の扉を開ける。
「ただいまー」
 当然返事はない。電気もついてないし、人気もなく静かだ。こんな寂しい生活を1ヶ月過ごしていたと思うと、よくがんばってるな自分、と思う。いつまで続くことやら。でも、明日から柊がやってくるから賑やかになるぞ。地獄に仏とはまさにこのことだ。やった!なんだか明日が楽しみになってきた。久々に楽しみができた。今日はぐっすり眠れそうだ。私は、さっさっと寝る準備をして就寝した。

作品名:神待ち少女 作家名:ちゅん