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神待ち少女

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「わー、人多いね」
 新宿の駅を降りた。
「どこのカラオケ行く?カラ館、カラ鉄、うたひろ……」
「カラ館にしない?駅から近いよ」
「じゃ行こう」
 2人は中央口から出て、少し歩いたらすぐに着いた。
「ほんとだ。新宿ってさ、駅でかいからどこから出ればいいかわからないよね」
 そんなことを言いながら店に入った。
「すいません、2人です。はい、高校生です」
 受付は柊がしてくれた。
「何時間にする?」
 携帯で時間を確認した。
「じゃあ、2時間で」
 今だいたい5時くらいだから、それくらいでいいだろう。
「5階だってさ」
 受付を済ませ、エレベーターに乗る。5階に着くと、私は開のボタンを押して、柊を先に降りさせた。
 部屋に入り、ドリンクが来るのを待ち、その間に歌う曲を考える。柊と来るカラオケは、気兼ねなく好きな曲を歌える。どんな曲でも柊は盛り上がってくれる。
「ナナはやっぱり中島みゆきかな」
「その通り、柊は今日はどうするの?」
「そうねぇ、プリキュアでも歌おうかな」
 さすがの選曲だよ、本当に。
 実にあっという間の2時間だった。私は思う存分中島みゆきを歌って、柊はアニソンをひたすら熱唱していた。柊は終始立って歌っていて、マラカスやタンバリンを鳴らしていた。私もそのノリについていって、もはや2人だけの世界と化した。とても気持ちがよく、うっぷんを晴らしてやったという感じだ。ほぼノンストップで歌い続けたので疲れた。
「いやー、よかったよかった。やっぱナナ歌下手だね」
「中島みゆきは難しいの、柊は相変わらずかわいい歌声だったわ」
「それほどでもー」
 支払いを済ませ店を出る。もう完全に夜になっていた。人がさらに増えて、あちこちを行きかっている。人ごみは嫌いだが、柊がいれば大丈夫。
「次プリ撮りに行こ」
 そう言って歩き出す。少し雨が降り出した。一瞬何か不安を覚えたが気にしなかった。
 歌舞伎町一番街を通って、ゲームセンターに向かう。途中で何人かの男に私たちは声を掛けられたが、無視した。
「ほんと、キャッチの人むかつく。どういう神経してるのかしら?」
「今日は柊と一緒だからたくさん声掛けられるね」
「嬉しくもないし、褒め言葉に聞こえないよ」
 そういえば、私も柊と同じようなこと言ってたわ。自分がナンセンスなことを言ってしまったことを反省した。
 そんなことを話しながら、ゲームセンターに入った。ゲームセンターにはやはりカップルが多かった、制服を着た学生の。制服デートができるのもあと少しか。
「あのプリ機でいいよね」
「なんでもいいよ」
 適当に選んで入った。プリクラをたくさん撮るのは、実に女子高生っぽいと思う。まさにJKだ。
「今日はね、いろいろ調べてきたんだよ」
「何を?」
「上手く撮れるテク」
 そんなものがあるのか。まぁ写真だし、ポーズくらいはあると思うが。
「早速やってみよ。まずは、2人の頭を寄せて、体をフレームの外側にする。顔は斜めね。こうすると細身に見えるらしい」
 そんなことをよく調べたね。フレームを選んで、シャッター音が鳴る。言われたとおりにポーズを決めて、裏ピースをしてやった。
「次は、2人で顔をくっつけてカメラに寄るの」
 言われた通り顔を寄せた。柊の頬が当たる。思ったよりぷにぷにしてる。
「それでね、次は……」
 そんな感じでプリを撮り終えた。とにかく柊がはしゃいでいた。出てきたプリを2人で分ける。
「ほら、上手く写ってるじゃん!」
「まぁ元々プリクラってきれいに写るようになってるしね」
「んー、否めない」
「ほとんど詐欺だよ、詐欺。目でか過ぎだし、肌白過ぎ」
「大丈夫大丈夫、どうであれナナはかわいいよ」
「まったく」
 そんなやり取りをしながら、ゲームセンターを出る。ちょっと降っていた雨は止んでいて、夜は一層深まっていた。
「じゃ、ごはんにしよっか」
「うん、どこか安いところ」
「じゃあサイゼにしよ」
 確か歌舞伎町一番街を出た辺りにあったはずだ。2人は歩き出す。帰りも何人かの男に声を掛けられた。

作品名:神待ち少女 作家名:ちゅん