神待ち少女
私は彼に近づいた。何やってんだろ、私…こんなことになるなんて…ね。
彼の肩に手を置き、唇をそっと重ねた。私は目を閉じている。
「…ん」
私の吐息が少し漏れた。彼は本当に軽い感じで、舌を入れて来なかった。そして、唇を離す。
「…あの、これでいいんですか?」
「…あぁ、いやぁ、キスうまいね。軽い感じだったけど、よかった。これでいいよ」
本当にこれだけでいいのか?
「もういいんですか?」
思わず言ってしまった。
「これ以上は特にないね。それにしても実に魅力的だ、僕の彼女よりいいよ」
こんな変わってる人に彼女がいるのか。物好きな人だ。
「ほら、風呂上りだから寒いだろう」
この気遣いはどういうつもりなんだろう?
「まぁ、君は運がいいよ。君みたいな子と2人きりになったら、抱いてみたいと誰もが思うからね。今後は覚悟したほうがいいよ」
「…それはどうも」
この人はいい人なのか、ただ変わっているだけなのか、多分一晩寝てもわからないだろう。
「大丈夫かい?なんかぼぉっとしてるけど」
「あっ、いや別に。ただ、変わってるなぁと思って」
「僕のことかい?さっき言ったとおり、気まぐれだからね」
ずいぶん難解な気まぐれだ。
「…あの、もう寝ていいですか?」
「そうだね、もう遅い。ベッド使っていいよ。僕はソファで寝るから」
「あぁ、すいません。ありがとうございます」
彼には最後まで、驚かされた。
私は、ベッドに入るとすぐに眠りについた。今日は長い一日だった。
いろいろなことが起こって…本当に疲れた――。