神待ち少女
そんなある日、母さんが密かに父さんに会っていることに気づいた。
何回か居場所を言わずに外出したから、不審に思って聞いてみたのだ。
「そろそろ、教えてくれないかなぁ。ねぇ、母さん」
「…わかったわ」
母さんは重い口を開いた。
「パパはね、借金をしてたの…。で、自分でなんとかするって言って出て行ったの…」
「そ、それって…ちゃんと返せてるの?私たちは平気なの…?」
「最初は、住み込みで仕事を見つけたらしいけど、最近また新しい仕事を始めてうまくいってるそうよ。借金もだいぶ返済できたみたい」
「新しく始めた仕事って何?ちゃんとした仕事なの?」
話を聞けば聞くほど不安になった。
「それは…私も詳しくは知らない…」
「絶対危ない仕事だよ!借金してる人を雇う会社なんて、普通じゃないって!」
私は椅子から立ち上がって、怒鳴った。
「静かにして!大丈夫だって言ったでしょ?あなたは心配しなくていいのっ!」
無理やり丸め込まれて、その場は終わった。
母さんはそれ以上は何も教えてくれなかった。
その後も特に変わらない生活を送り、だんだん出て行った父さんのことなんかどうでもよくなっていた。もともと、私は父さんに対して、特別な感情を抱いていなかったからかもしれない。相変わらず、定期的に母さんは父さんと会っていたようだ。
そんなこんなで、1年が過ぎて、春休みには母さんも出て行った。置き手紙を残して。
正直母さんが出て行って最初に思ったことは、『この先どうしよう』ということだった。家族がいなくなったことを憂う前に、自分の身を案じていた。私にとってそれほどの存在だったのだ。
まぁ、幸い母さんがお金を送ってくれると言ったとおり、毎月1日にお金が家に届くが、それだけでは安心ならない。そう考えていたのに、今月うっかり金を使い過ぎてしまった。
そして、今日、いろいろ考えた結果…このオフ会に来てしまった――。