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ちょっとした出会いから

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3話

 
「かわいいわねぇ、みずほちゃんは」  母方の祖母
「美人になるよ、この子は」      母方の祖父
「初孫ですよ私たちの」        父方の祖父
「もう、なんでもしてあげるお姫様」  父方の祖母

 母に頭とお尻に手を添えられて抱かれた新生児は4人の祖父母に囲まれ、すやすやと寝入っていた。
 誕生する前から両親に瑞穂と名付けてもらい、父方の祖父母、母方の祖父母らは瑞穂のために衣類、寝具、家具、おもちゃ、紙おむつなどの必要と思われるものを、重複しないようにお互いに連絡を取り合いながら、しかし我先にと買い求め、一日千秋の思いで誕生を待っていた。
 誕生の知らせを受けるやそれぞれの人たちは会社を早退して、病院に駆け付けた。
 新生児室のベッドに寝かされている孫を、ガラス窓越しに首をのばして眺め、同じようにベッドに並んで寝ているよその新生児たちと見比べて、
「うちの孫が1番かわいい」
「1番美人やなぁ」
などと、大きな声でうなずき合っていた。

 そして退院の日、母子は迎えに来た夫が運転する車に乗ってそのまま自分の家に帰り、日時の連絡を受けていた祖父母たち4人が一堂に集まって、しげしげと孫を眺めていたのである。
 それが冒頭の言葉だ。
 瑞穂の父は居場所をなくし、早く3人水入らずになりたい、早く帰ってくれないかな、と思いつつ皆にお茶を入れていた。