ちょっとした出会いから
夏の日差しがまだ強い時間帯だったが、麻田太郎は決まった時間に、決まったペースで、しかし、コースは日陰になるようにと、女子高校の校舎の脇を選んだ。
通り道の先に、犬を連れたおばはんが立ち止まっているのを見て舌を鳴らしたが、地域の人を大切にしなければ、と思い始めた矢先なので、そばまで行くと、笑顔を見せて通り過ぎた。
おっ、口をあいて感激しとる。
冷えたビールを頭に思い描いて、えだ豆まだあったかいな、と考えながらその日の散歩を続けるのだった。
作品名:ちょっとした出会いから 作家名:健忘真実