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ちょっとした出会いから

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5話


 1984年のことである。
 奈良県で「わかくさ国体」が催された。
 大峰・大台ケ原山系を擁する天川村・上北山村を会場として、山岳競技が10月中旬、6日間の日程で行われた。
 山岳競技は、1チーム3人で、3種目を競う。

 縦走競技は2日間にわたって行われ、提出した計画書、テント設営・撤収の速さと出来栄え、天気図作成を採点され、テント泊とし、2日間の縦走タイム合計を競った。
 成年女子の部は、3人が背負う荷の総重量は50キログラム以上で、必要装備の所持等も点検され、不備があれば減点される。

 登攀競技は3人の登攀技術が、登攀開始から上部にゴールし、ザイルで懸垂下降を終えてすべてをザックに収納するまでのタイムとともに、採点される。天川村みたらい渓谷地峯(ちのみね)東壁を会場とした。

 踏査競技は総荷重35キログラムを背負い、コース上に設けられたポイントを与えられた地形図に書き込む。10か所あったように記憶している。また、ゴール直前に用紙を渡され、植生や地図記号、縮尺などの設問に答えを記入して、正答率とタイムを競った。

 各チームは、大会当日の5日前までは現地を訪れて下見したり、登攀練習することが認められている。
 近年の山岳競技からは想像もつかないであろう、本当に山好きでないと務まらないものであった。