ちょっとした出会いから
犬の散歩、朝食、洗濯・掃除を済ませてランニングをしている。
大阪駅から北へ16キロの位置にある池田市内を西から東へ、東から西へと約14キロメートルのコースが私のメインルートである。ほとんど歩道を走っているが、通勤の時間帯でもあって、自転車に乗った人たちと行き違う。
狭い歩道で後ろから
チリリン、チリリン、そこのけそこのけ自転車のお通りだ
と鳴らされるといじわるがしたくなる。
歩道は自転車優先か!
走っていると自動車の運転マナーにも目がいってしまう。
携帯電話を耳にあてたままの片手運転は、一時期を除いてしょっちゅう見かける。
車庫から、あるいは側道から歩道を越えて車道まで一気に走り出てくる車がある。年配者に多い。
後ろから来た車が走っている私の前を大きくまわり込んで右折していく。この時は本当にヒャッとする。後ろを気にしながら走ったりしないし、歩道を走っている時はなおさらだ。ほとんどが女性ドライバーである。
国道沿いに歩道を走っていると、国道に出ようとしている車があった。歩道を完全にふさいで止まっていたが、ドライバーは右方向ばかり見ている。走ってくる車は途切れることなく続いていたので、止まっている車の前を横切ろうとした時、その車は発進して左折し、あわやぶつかりそうになった。30代前後の女性だ。当然といった風で走り去った。
車のボンネットをたたいてやればよかった。
今に事故に遭うぞ、
と心の中で警告を発しておいた。
「瑞穂ちゃん無理な運転したらあかんよ」
隣に座る母の声を聞き流してブスッと車を運転していた。
せっかくの休日なのに、誰かとデートしたかったのにママの送迎ばかりで・・・だから結婚できないんだ、
と思いながら。
作品名:ちょっとした出会いから 作家名:健忘真実