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あいつら役に立たないから。

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 もちろん俺は意識を読むなんて事は出来ないので確信はできないのだが、少なくとも俺が話の理解をとっくに放棄していたと言う事には今気づいたようだった。
「あんたの誠実さはよーく伝わった。だから、頼む。もっともっと端折って、それからすごーく簡単な言葉を使って説明してもらえないか?そうでないと信じる信じない以前の問題なんだ」
「それでよろいしのですか?」
「それでよろしいもなにも、そうじゃなきゃわかんないんだよ」
「そうですか……平易な言葉で説明したほうがよろしい、と……。困りましたね」
 悪魔が今まで一度も見せたことの無いような困惑の表情を浮かべる。
「えーっと、世界均衡核という言葉はお分かりですか?」
「いや」
「もしや、我々悪魔の存在があなた方人間のイメージの総体の超次元交感体という先ほどの説明はご理解いただけていないのでは?」
「ああ」
「なぜ、そのときご質問いただけなかったのですか!?」
「いや、だって判らない事に対する答えにベルグソンとか言う知らないおっさんが出てくるんじゃ質問してもしょうがないから」
 無知を責めるような悪魔の言動に居心地の悪さを覚えるが知らないものはどうしようもない。
 そもそも悪魔の方から持ちかけてきた話なのだ。わからないからといって責められる謂れは無い。
「そうだったのですか。お察しできずに申し訳ありません。しかし平易と言われましても……」
「いや、謝られてもなぁ……」
 馬鹿正直な悪魔の態度に居心地の悪さは増すばかりだ。ここは俺の部屋だと言うのに。
 ふと、思いつき、俺は悪魔に一つ提案をした。
「ならさ、俺がわからない所を質問するから、それについてさっくりと答えてくれないか?」
「いいでしょう。なるべく平易にご説明できるよう努めます」
「平易じゃなくて、簡単に、な」
「これは失礼」
「じゃ、そうだな、えーっと」
 悪魔。世界の滅亡。世直し。異次元交感体。イマージュの総体。世界均衡核。
 意味のわからない言葉の羅列が頭の中をグルグルと周り、話の輪郭が霞の中に消えていこうとするのを必至で繋ぎとめる。
「まずこれだけは一番に聞いておきたい。あんたは誰だ?」
「何度も申し上げたとおり、悪魔でございます」