朱く染まる日
「覚えるも何も、クラスメイトの名前は毎日嫌でも耳にするし。それが続いてるのに覚えてない方が奇跡だって」
「それももう、今年で終わりかもしれないんだよね」
南風原の表情が固まるのを、久良木はしかと目にした。久良木は言葉を続ける。
「わたしね、まだハッキリとは決まってないけど、春園高校へ入学するの」
「げ、偏差値高くてお堅い所。俺は近くの市立なら何でもいいやって思ってる」
「……じゃ、同じクラスじゃなくなるんだ」
「そう、なるな」
途切れた肯定は南風原らしくないもので、それを感じ取った久良木は反射的に顔を伏せる。
だが、哀しみは人を強くして、時に人を饒舌にさせて、時には人を酔わせてしまう。今の久良木がそれだった。