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狂い咲き乙女ロード~2nd エディション 愛ゆゑに人は奪ふ~

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 この気持ちに偽りはない。僕は彼を愛してしまった。だがその相手は同じ男だ。それも時々話すくらいのクラスメイト。あまりにも距離がある。それもいろんな意味で。正直その気持ちを認めたくはなかった。

――――でも、好きだ

 関係あるのか、性別なんて。好きになった人が一番に決まってるだろ。わかってる。千秋じゃなきゃ駄目だ。思い込みだと笑いたくば笑え。現実を見ろと言いたくば言え。何もしないってのは嫌だ。砕け散る覚悟はもうしたはずだ。支えてくれる仲間にも出会えた。
「一人じゃない」
 そう言ってくれた戦友がいる。新しい自分がここにいる。
 やらなきゃ。
 言わなきゃ。
 好きだってことを。
 もう僕は扉を開いたんだッ!
「信じていいのかい? その…君たちのことを」
「愚問よ」
 またあの時、教室で見せたあの満面の笑みで彼女は言った。
「そのために私たちがいる。本山田君と佐藤君の幸せのために」
 そして僕らは一つになった。
 その後は『第一回佐藤千秋攻略会議』なるものが行われ、より一層連帯感は強まった――、でいいのだろうか。いや、すいません。今のは大分誇張表現でした。実際は大変カオスを極めた雑談が行われただけでした。すっかり気をよくした森さんが、
「これだけは敢えて言っておくわ! 『ホモが嫌いな男子なんていない』とッ!」
 などと激しく狂った演説をかましたのでした。しかしそんな常軌を逸した発言にも六人の後輩たちは、
「さすが森先輩ッ、私たちには間違っても大きな声で言えないことを平然と言ってのけるッ、そこに(以下略)」
 などと歓声を上げる始末で、もう僕には何が何だかわからなくなってきました。おまけに明日からは放課後毎日部室に来るようにも命じられてしまったのです。
「明日学校休んじゃ嫌だよ?」
 とか狩人の目で言われて御覧なさい。ノーと言えるはずがありません。結局解放されたのは六時過ぎで、もはや身体と心は疲労困憊の極み。今日は早めに寝よう。じゃないと明日からのハードなスクールデイズに耐えられないだろうし。またしても僕の人生設計は大きく狂ってしまった。だが、それでいい。今はそれでいい。戦いはこれからなのだから。そう思える自分が既にいた。僕はここで生まれ変わるのだと。