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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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続・おしゃべりさんのひとり言/やっぱりひとり言が止めらない

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その120 計算間違いと勘違い



簡単な算数の問題に挑戦してみませんか?

「6を半分で割って、2を足すといくつ?」

この計算式自体は、小学生くらいの知識があれば十分です。
真面目な問題なんですが、答えはいろいろ出ると思います。
それは、問題の説明が不十分だからです。
どんな意味の出題内容であるか理解の仕方によって・・・つまり国語の問題でもあるんです。
この問題の『半分』って部分がまさに問題。
これをどう捉えるかによって、答えが変わります。

娘の受験が迫ってるんですが、少し焦り始めています。
がんばって進学校に通っていますが、2学期なのに高校課程の通常授業はもう終了していて、受験のための授業だけになっています。
でも全員が国公立を目指してる訳じゃないので、友達の多くは2学期中に有名私立の推薦に合格して、もう遊び始めてるんですって。
娘の受験は来年の1月からなんで、そんな先勝ち組にペースを乱されてしまいそう。それで学校に行かないようにする生徒もいるそうです。
そんな中、理系を目指す娘には、まだ安心材料がありません。
模試での実力は付いて来ているものの、まだ数学が苦手でして、応用問題はそこそこ出来るんですが、単純計算を間違うんです。
それは、数字を+-×÷や( )を=でつないだ計算式のこと。
よ~く考えれば、必ず答えが出るに決まっている計算問題です。
もちろん少数や分数、乗数に平方根などが複雑に組み合わされていて、その計算ルールを100%把握していないと、決して正解は導き出せませんが。
それを全部理解しているのに、答えを間違うなんて、油断するにもほどがある。
こういう事をやってしまう癖があるようで、落ち着きとか注意力とか集中力とか、勘違いが起こる原因が一体何なのか、よく分かりませんでした。
それで試しに『引っかけ問題』を計算させてみたのですが、やっと娘の計算ミスの傾向が判明したのです。

冒頭の計算問題、実はいい加減な問題なんですが、まず、その答えを解説します。
「6を」の『を』が重要で、「半分」って言うのは何の半分のことなのか、よく判らないでしょ。
「半分」が『二分の一』のことだとすると、この計算式は、
6÷1/2+2=14 となります。
この「割る二分の一」と言うのは、2をかけるのと同じことでしたよね。覚えてる?
(反対に、二分の一をかけるのは、2で割るのと同義)
ところが「半分」というのを、『6の半分(つまり3)』のことだと受け取ってしまうと、
6÷3+2=4 となってしまいます。

「14」は理系の人に多い計算結果で、「4」は文系らしい解答だと思います。
この場合、どっちの計算が正解かって言えないほど、曖昧な日本語表現で出題されているので、こんなことになってしまうんですが、娘はきっとこんなふうに、(理解しきらないうちに計算を始めてしまい、答えを間違うんだろうな)と想像したんです。

僕の経験から、間違わないために心掛けることは、まずはじめにその問題の意図を正確に把握する必要があると思うんです。
何も算数や数学の問題のことだけを言ってるんじゃないですよ。
人と会話していて、説明が下手な人っていますよね、結構。そんな人から重要な情報を得ようとする時、勘違いがあっては大変だから、僕は何度でも聞き返しますし、僕が理解した内容を、その人が表現できなかった話術で言い換えて、もう一度、「こういう事ですね」と確認も取ります。
これは仕事上でもよくやってるし、英語や中国語を使う時にも、語学力不足で起こりうる誤解を避けるために、もう一度簡単な言葉で確認したりも・・・(してるなぁ)ってことに、今気付きました。
だって、お客様相手の仕事上では(これくらいやっとけばいいか)って及第点なんかないし、必ず100点満点で完了させるものでしょ。

娘はこの確認が不足してるんだな。
さっと読み飛ばして、自分に都合よく理解してしまい、うっかり勘違いをしていた。って結果になるんだろう。
思い起こせば、中学受験の時にも、算数の一問目で大きな勘違いをしてて、その続問も一問目の解答を引き継いでしまい連続間違い。合格発表までナーバスに落ち込んでたな。
なのに、それを教訓に改善しないまま6年近くが経過、今に至るようだ。

じゃ今回判明したことを教訓に、今から気を付ける事を明確にして・・・と思って、娘にこの計算問題を出したのに、娘はなんと「17」と解答した。

「え? どこからそんな答えが?」
僕がそう言うと、(答えを間違った)って思い直してくれたのか、
「ああ、待って待って待って・・・」って焦ってる。
「しっかり計算せいよ」
「う~ん、やっぱり17か・・・」
「へ? どんな計算したん?」
「六五、半分で割って、二たす。・・・六五って掛け算の九九?」
「違う、六五(ろくご)じゃない、『六を』って言ったの」
「あああああ、なんや聞き違い、変やと思った。ほんじゃ、6を半分・・・答え5」と、これまた慌てながら答えた。
「また違う。どうやったん?」
「え~、6を半分にして、2足した」
「半分にしたらあかんやろ」
「ああ、そうか、簡単すぎると思った。1/2で割るんか。じゃ・・・14!」
こんなふうに、やっと正解の一つにたどり着いたのだ。

僕はがっかりしてしまった。
答えはすぐに「14」か「4」が出て、受け取り方次第で計算結果が変わってしまうから、「しっかり理解できるまで問題を読むんだよ」というアドバイスをするつもりだったのに、問題を聞き間違えて、(何か変だな)と感じてるのに、そのまま計算を進めてしまってた。
そして焦った末に、半分で割る(1/2で割る=2をかける)というところの基本計算ルールさえすっぽかして、2で割って半分にしてしまったなんて。

細かな要素を理解しつつ全体像をつかまなければならないのに、全体を見て中身スカスカじゃない。
この根本的な物事の捉え方のクセが、おっちょこちょいな性格に変貌していたんだと解ったけど、当の本人は「聞き違えただけ。慌ててただけ」などと言い訳を必死にしている。
自分を見つめ直せ。そういうとこやぞ。

(変だな?)って感じるのは、頭がいい証拠だと思う。そこを素通りするな! もったいない。
「虫の知らせ」とか「神のお告げ」とか何でもいいから、そんなふうに信じて立ち止ってみるのも大事なことかもしれない。
早く答えを出すより、しっかり吟味することの重要性が解るようになるには、もっともっと経験を積まないといけないようです。

でもそんなことを今の娘に望んでしまうのは、僕自身が結果を急いでしまってる証拠。
受験は、親が必死になっても仕方ないのにな。