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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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「実は私もそうなの。エル様はいつも感情を表に出されているから、人間と同じ行動なのよ」
ルージュは困惑して話しているのではない。それらの会話は。ただ機械音声の再生に過ぎない。しかし、それらに課された任務を遂行するために会話を交わすことは、関連情報収集の重要なプロセスである。
「SS3100以前のアンドロイドには、相手の型式や個別情報を読み取る機能がないから、見た目で判断するのは難しい。つまり白黒モニターで赤と緑を見ても、判別が付きにくいのと同じだ」
ブルーノが、イエロービーにプログラム診断用のスキャナーを取り付けながら、淡々と話した。
「じゃ、ケイ様が仰るように、私はエル様を人間として用例登録してしまおうかしら」
「グリンやピンキーは、すでにそうしてしまっているようだがな」
イエロービーが、首筋にスキャナーを固定しながら言った。
「そうすることは、正しいことなのかしら」
それを聞いてブルーノが、
「それは状況認識能力が低いことの表れだ。80(ハチマル)シリーズは長期に渡り大量生産されたモデルで、プログラムのマイナーチェンジも頻繁に行われて来た。不具合はすべて解消されていると思っていいだろう」ブルーノが淡々と話す中、3体は互いに視線を合わせることもしない。
「じゃ、フルスキャンしても意味がないのでは?」
スキャナーを取り付け終えたイエロービーが聴いた。
「はっきり言って無駄だろう、問題なのは、80(ハチマル)の認識機能ではない。SS3000にまで感情があるということだ。それこそが誤認識の原因なのだ」
「ブルーノ! エル様をトラブルメーカーみたいに言うと、私が許しませんよ!」
ルージュがブルーノを見て言った。
「感情こそが“脅威の種”なのだ」
ブルーノはルージュに近付いて、イエロービーと同じスキャナーを首筋に当てようとした。
「自分でやります」
ルージュは、ブルーノからスキャナーを受け取り(決して奪い取るようなことはしない)、自ら首に取り付けた。
「準備はいいかい?」
「はい」
 「ハイ」