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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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 イベント会場の設営現場に足を運んだ博之は、現場で丸川係長と話していた。音響スタッフが大きな声で、マイクテストする騒音の中で、設置するカメラの位置を図面で確認していると、そこに元請のマルケン社長の原田が二人に声をかけた。
「やあ! 順調に行ってるかい!?」
「原田さん! ご苦労様です! 社長が現場視察されるとは、相当力の入った企画なんですね!」
少し大きな声で話さないと聞こえ辛い。
「なあに、そちらこそ、木田部長直々の現場指揮とは、熱心なことでありがたいよ!」
「人手が足りずに必死なんですが、10月以降の予定も変化ないんですよね!」
「いいや、むしろ増加するかもしれないよ! なんとか頑張って、しっかり儲けてよ! ははははは」
「これ以上増えたら、みんな寝てる暇ありませんよ!」
「今はどこの会社も人手が不足してるからね。みんなどこで働いてるのかねえ。木田さんも企業努力で乗り切ってよ! 頼んだよ!」
「はい! なんとか乗り越えます!」
原田社長は苦笑いしながら去って行った。

「あーあ、いいんですか? そんなこと言っちゃって」
 面倒くさそうに、丸川が言った。
「やるしかないだろ。出来るとこまでなんて甘いこと言ってないで。請け負ったんだから何が何でもやるしかない」
「出来なくても、僕知りませんよ」
「何言ってんだ! お前の業務だよ。本気でやらないと」
「人が足りないのが根本原因なんですから。これ以上どうしろと言うんですか」
「今日視察して気付いたけど、作業者それぞれが目の前のことしかやってないと思うんだ。もっと各工程ごとに効率のいい手順を確立しよう」
「それは追々出来上がって行くもんですよ」
「そうじゃない! まず決まった手順を作ろう! その手順どおりに作業を進めれば、1日の達成目標も立て易い。1日で出来るとこまで、だらだら進めんるんじゃなくって、計画的にその日の予定が組めるだろ」
「・・・・・・」
丸川は、嫌そうに聞いている。
「それを繰り返していけば、手の早い人、うまい人とか個性が出て来て、わずかでも待ち時間が生まれるはずだ。その時間に何か次の準備とかが出来れば、それで全体がギュッと短縮されるはずだから」
「そんな目に見えて速く出来ませんよ」
「速く動く必要はない! 無駄を削れば早くなる!」
「そんなこと出来るかなあ?」