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もやもや病 9

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82 母の笑顔

病気のことを子どもの患者に笑顔でお話ししてあげてと、言ってはきたけど、これは子どもの場合で

思春期の子どもさんに、お母さんが笑顔でお話しすることは、これはまた意味が違うと思う

自分の身体が自分の思いと違う気持ちの悪い発作が起きていて、こんなに不安に思っているのに、お母さんは、これは難病で…なんて、にこにこしながら言ってる、なんてちょっと違う思いだろうから?

小さい子どもさんには不安を感じさせないようにと思うけれど、大きな患者さんには、やはりお母さんもあなたと同じように心配しているのだと言うことを共感できる立場でいたいと思う
こういうときに、向き合ってお話しするのではなく、隣に座ってお話ししよう
子どもさんとお母さんと同じ方向を見て行くということ

お母さんが向き合って、患者の思いを1人で受け止められるべき事ではないように思うから
例え辛くて泣いても、涙の顔をお互い見ないですむという隣に座って話しをするというそういう年齢もあるから

小さい子どももすべてを親に報告するわけではなく
大きい子どもも、こんな事になってという戸惑いをすべて親にぶつけるわけではなくて
でも、お母さんは少なくともわかっているという思いを共有したいから
あなたは1人で居るのじゃないのだからと

最初に、検査の時や、病気の告知をちゃんと説明してあげなかったら、自分のためと思ってはいても、親がウソをついたということには変わりがなく
もしかしたらこれからも何かしら教えてもらえないことがあるのかもしれないという不安にもなるのかもしれない

患者が大人になって、子どもの時のそういうことをみんな親任せにしてきてわからなかったというのはやはりどこか違うと思うから

自分が子どもの時に受けた手術が、どういうものだったのか知らないということがあるようだから

親だけが辛い思いを背負うことを患者が喜ぶかどうか、もっと自分に思いを分けてくれても良かったと思うこともあるだろう

だいじな大好きな親なのですから、自分の事で親が苦しむことを良いと思うはずがない

ある集まりで、高次脳機能障害もあって、感情がコントロールできずに親に物を投げたり暴力をふるう患者が居ると聞いたことがあった

お母さん、そんな時は、向き合わないで、お嬢さんの後から肩を抱いてあげてください
うしろから抱いてあげたら後に物は投げられません
後のお母さんにつかみかかることも出来ないでしょう
背中から抱いてあげて、辛いんだねって言ってあげてください、ちょっとの時間そうしていられたらきっと落ちついてくれるから・・・そう言った

その時になったらそれが出来るかどうか私にもわからない、でも、こんな時も向き合ってお母さんが被害者になってはいけないと思う

お母さんが自分のせいで痛いめをしたら、時間が過ぎて心痛めるのはそのお嬢さんだから
子どものために痛いめにあってはいけない
向き合って立つ場と、横に並ぶことと、後から守ること、それぞれだいじなことと思う

作品名:もやもや病 9 作家名:とことん