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④銀の女王と金の太陽、星の空

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「せっかく二人が初めて手合わせをするから、一緒に見に行きませんか?」

将軍も隣に立って、誘ってくる。

「そうだね…じゃ、見に行こうかな。」

すると、帰ろうとしていた大臣や宰相たちも戻ってくる。

「空様の実力がいかほどのものか、興味ありますな。」

「おまえも共に手合わせ願ったらどうだ?」

思いがけず話をふられた近衛隊長が、目を泳がせる。

「あ、ええ…かしこまりました。」

(あ、そうか。)

近衛隊長は、空と初めて会った視察の時に帯同していたから、空の実力とその恐ろしさを知っているんだ。

「頑張って。」

私が笑いながら言うと、近衛隊長が諦めたように敬礼して、中庭へ走っていった。

私たちが中庭へ到着すると、ちょうど準備運動が終わって、それぞれが得物を持っての実戦練習が始まるところだった。

「おお、空様は二刀流ですか!」

「あれは…忍刀ですか?」

「腰にも色んな武器をぶら下げていますな。」

私は中庭の椅子に腰かけながら、大臣たちに答えた。

「蓮は、実は忍の一族の者だったので、空も忍の里で育ったのよ。」

男娼のことは、もちろん言わない。

忍のことについても、詳しく話さない。

空は、高級男娼だったので、相手は全て各国の要人ばかり。

きっと我が国の王族やここにいる要人達の中にも、空が男娼として仕事をした相手がいるはず。

でも、それはお互いに絶対に知られたくないから、その情報は漏れないと思う。

皆、素知らぬ顔をしているけれど…。

私は彼らを一瞥した後、太陽と空へ視線を戻した。

どうやら空は、近衛隊長と太陽二人を相手にするようだ。

「太陽王子と、どちらが強いんですかな。」

「それは、太陽様でしょう。なんといっても我が国の軍神ですから。」

その時、開始の合図が鳴り、太陽が一気に間合いを詰めた。

「はっ!」

聞こえたのは、その太陽の気合いと直後の金属のぶつかる音、そして小さな呻き声だけだった。

太陽が間合いを詰めた一瞬で勝負は決したようで、次の瞬間、空の足元に近衛隊長と太陽がうずくまっていた。

その場がシンとなる。

諸外国にも最強として名が知れ渡っている太陽が、まるで相手になっていない。

その場の皆が息をのむ中、太陽は野獣のような殺気立った表情で、刀で峰打ちされたと思われる腹部をおさえながらゆらりと立ち上がった。

近衛隊長も、その横で立ち上がる。

「太陽の…あの顔は、空を連れ帰った日以来だな…。」

銀河が表情を強ばらせながら呟く。

その後も、何度も空へ挑むが太陽も近衛隊長も全く相手にされない。

「恐ろしいほどに強いですな…。」

大臣が掠れた声で呟く。

その時、地に膝をついたまま、太陽が騎士たちを見回した。

「…いい訓練になる!挑戦してみたい者は空王子の前に集まれ!」

その声は掠れ、荒々しい呼吸を繰り返している。

「手当ての用意を。」

私が銀河に言うと、銀河が近くの侍従に指示を出す。

空の前には、30人ほど騎士が集まって取り囲んでいた。

「もうめんどくさいから、まとめてどうぞ。」

気怠げに言うと、空は首を回した。

「かかれ!」

太陽が号令を出すと、全員が一斉に空へ襲いかかる。

けれど、空の姿は一瞬で消えた。

空へ向かっていた騎士たちは、それそれで相討ちとなる。

皆が動揺した時、その騎士達の脇に降り立った空が、一人一人叩きのめしていく。

その立ち回りはまるで踊るように美しく、見事だった。

そして数秒後には、あたりに呻き声があがるのみで、空は呼吸も乱さず静かに二本の忍刀を鞘へ納めた。

「怪我した者はこちらへ。」

私の声が響くくらい、辺りは静まり返っていた。

「ごめんな。」

空が騎士達に手を貸しながら、謝る。

「俺の一族相手と同じ感覚でやったらダメだよな~。」

(反省してるんだ…。)

その姿が可愛くて愛しくて、私は思わず微笑んでしまった。

「これは、空に鍛練してもらったら、我が国の軍事力はかなり向上するな。」

銀河が、野心的な目付きで呟いた。

「空。」

私が呼ぶと、空は太陽の手当てをする手を止め、こちらをふり返った。

「これから毎日、騎士達の指導を頼める?」

私の言葉に、空は切れ長の瞳を太陽へ向ける。

太陽は空に渡された氷で打ち身を冷やしながら、明るく微笑む。

「そうしてもらえると、僕も助かるな。僕ももっと強くなりたいし。」

すると、空は私の方へ歩み寄ってきて、膝をつく。

「俺で良ければ。」

その謙虚な姿に、大臣たちの表情が和らぐ。

太陽を立て、私に敬意を表す空は、順調に王族として皆に受け入れてもらえた。